研究課題
本研究では、RabGAPドメインであるTBCドメインを有しながら、GAP活性に必須のアミノ酸を欠くユニークなRabGAP(非定型RabGAP)に着目し、クラスリン非依存性に取り込まれる膜蛋白質(CIEカーゴ)の細胞内輸送における機能解明を目的とする。上記のような特徴をもつTBC1D3、TBC1D24、TRE17の解析を行い、前年度までに以下の知見を得ている。1)TBC1D3、TBC1D24は、低分子量G蛋白質Rab22Aを介して、CIEカーゴの輸送経路に特徴的なチューブ様リサイクリングエンドソーム(TRE)の形成を促進する、2)TBC1D24は、Rab22Aとともに細胞の増殖と遊走を促進する、3)TRE17は、CIEカーゴの一つでありがんの悪性化に深く関わるCD147を脱ユビキチン化することにより、細胞膜上でのCD147の発現量を増加させる、4)その結果、matrix metalloproteinase (MMPs)の発現量を上昇させ、がん細胞の浸潤能を亢進する、令和4年度は、TRE17によるCD147を介したがん細胞浸潤能亢進について、さらに解析を行い以下の知見を得た。1)TRE17を過剰発現させた細胞では、細胞膜表面上のCD147の安定性が向上しており、TRE17がCD147の細胞膜へのリサイクリングを促進することにより、CD147を安定化し発現量を上昇させることが示唆された。2)in vitroでの脱ユビキチン化活性を測定した結果、TRE17はCD147を直接脱ユビキチン化することが明らかとなった。3)TRE17ノックダウン細胞では、MMP9の発現が低下していたが、MMP9の活性それ自体は変化しておらず、TRE17による浸潤能亢進はMMPsの発現量変化によるものであることが明らかとなった。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 298 ページ: 102335~102335
10.1016/j.jbc.2022.102335