• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

筋再生過程におけるN-WASPと膜変形タンパク質による核配置制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07328
研究機関千葉大学

研究代表者

高野 和儀  千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (60466860)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード筋再生 / 周辺核化 / N-WASP / Amphiphysin2 / 核動態 / 膜変形
研究実績の概要

骨格筋の成熟過程は筋再生や筋疾患発症のメカニズムを解明する上で重要な現象である。多核の骨格筋細胞では成熟過程において中心に一列に並んだ核(中心核)が細胞膜直下へと移動するが,その仕組みは不明である。周辺核化が阻害される中心核病の原因遺伝子として膜変形タンパク質 amphiphysin2/BIN-1 (Amph2) が同定されており,アクチン重合因子であるN-WASPと結合する。本研究では周辺核化における N-WASP と Amph2 の役割を解明することを目的としている。今年度はマウス再生筋から得た初代培養骨格筋細胞を3次元培養に供し,詳細な条件検討の結果,培養下において周辺核化を観察することが可能になった。実際に,共焦点レーザー顕微鏡による立体構築画像解析により核動態を調べた結果,培養5日目以降では周辺核化が生じることが観察された。この過程において,アデノウイルスにより発現させた膜変形タンパク質である Amph2 がT菅および周辺核周囲に存在することを確認した。つまり,Amph2 の膜変形活性により生じたT菅が核の移動方向を決めるガイドとして機能することにより周辺核化を制御する可能性が示唆された。これに加え,中心核病の原因となる Amph2 の変異は N-WASP との結合を減弱あるいは消失させることを明らかにした。すなわち,N-WASP は Amph2 と協調して周辺核化に関わることが示唆された。これらの周辺核化における役割をさらに追求する目的で,N-WASP や Amph2 の変異体をコードするアデノウイルスを作製した。一方,骨格筋特異的 alpha-actin プロモーターの制御下において Cre-ERT2 を発現するマウスの作製に着手し,ターゲッティングベクターの構築後,ROSA26 遺伝子座においてこれをノックインさせた相同組換えES細胞クローンを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

生体内で観察される周辺核化を培養化で再現可能とすることが本研究計画の基礎となるが,詳細な培養条件の検討によりこれが可能になったことで現実的かつ順調に今後の研究計画を進められるに至った。また,N-WASPと Amph2 との結合が中心核病の原因となる Amph2 の変異により消失することや周辺核化における Amph2 の興味深い局在は本研究の着眼点および本研究計画を大いにサポートする結果であるため,本研究は概ね順調に進展しているといえる。一方,本研究で使用する材料はその都度用意する必要があるがこれにおいても実験および解析と同時進行で進んでおり,今後の研究計画を遂行させる上で支障はない。

今後の研究の推進方策

確立した初代培養筋芽細胞の3次元培養条件下において,野生型の N-WASP や Amph2 あるいはその変異体を発現するアデノウイルスを用いて周辺核化におけるこれらの分子動態やその役割を経時的な顕微鏡観察および3次元立体構築画像の解析により明らかにする。さらに,昨年度の研究により得られた相同組換えES細胞を用いて今後は筋特異的 alpha-actin プロモーターの制御下で Cre-ERT2 を発現するマウスを作製し,すでに得られている N-WASP cKO マウスと交配させることにより,骨格筋特異的かつ筋再生時において周辺核化が起こる前にN-WASPをノックアウトし,生体内における筋再生あるいは上記と同様に初代培養骨格筋細胞の3次元培養に供することにより周辺核化における影響を確認する。これらの解析により N-WASP や Amph2 の周辺核化における役割を明らかにしていく。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] DA-Raf, a dominant-negative antagonist of the Ras-ERK pathway, is a putative tumor suppressor2018

    • 著者名/発表者名
      Kanno Emiri、Kawasaki Osamu、Takahashi Kazuya、Takano Kazunori、Endo Takeshi
    • 雑誌名

      Exp. Cell Res.

      巻: 362 ページ: 111~120

    • DOI

      10.1016/j.yexcr.2017.11.008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] DA-Rafはリン脂質とRasの両方に結合することでRas-ERKカスケードを抑制する2017

    • 著者名/発表者名
      高野和儀,辻田和也,菅野英美里,菅波晃子,遠藤剛
    • 学会等名
      第69回日本細胞生物学会大会
  • [学会発表] 横紋筋肥大・再生時の筋原繊維形成および核配置におけるN-WASPの役割2017

    • 著者名/発表者名
      高野和儀,栗原優介,辻田和也,遠藤剛
    • 学会等名
      2017年度 生命科学系学会合同年次大会
  • [備考] 千葉大学 理学部 生物学科 遠藤研究室

    • URL

      http://life.s.chiba-u.jp/telab/

URL: 

公開日: 2018-12-17  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi