研究課題
基盤研究(C)
小胞体における異常タンパク質の分解には、ミスフォールドタンパク質のジスルフィド結合を還元するための還元力が必要である。出芽酵母において、その還元力として、サイトゾルに局在するタンパク質であるチオレドキシンが利用できることがわかり、この還元力を小胞体内へと受け渡すのに関わる遺伝子を同定した。一方、チオレドキシンによる小胞体への還元力供給は、ヒト培養細胞では観察されず、酵母特異的であることが示唆された。
細胞生物学
小胞体レドックスの恒常性維持はタンパク質品質管理に必須であり、その破綻は小胞体ストレスを引き起こし、様々な疾患の発症と関連する。本研究の成果は、小胞体レドックスの恒常性維持における新たな因子を加えるものであり、小胞体タンパク質品質管理におけるレドックス制御・維持機構を明らかにするという細胞生物学的な観点においても、小胞体ストレスに起因する神経変性疾患や糖尿病等の発症やその治療戦略を考える上でも重要な成果といえる。