研究課題/領域番号 |
17K07336
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
表 弘志 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10273707)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アスコルビン酸 / デヒドロアスコルビン酸 / トランスポーター / ノルアドレナリン / クロマフィン細胞 / クロマフィン顆粒 |
研究実績の概要 |
アスコルビン酸は分泌小胞内に蓄積し、ノルアドレナリンやコラーゲンの合成に利用される。しかし、このアスコルビン酸がどのようにして小胞内に取り込ま れるかは不明である。申請者は酸化型のデヒドロアスコルビン酸が小胞内に輸送され、小胞内で還元される事でアスコルビン酸になるものと考えた。既に小胞型 デヒドロアスコルビン酸トランスポーター候補を単離しており、このトランスポーターがシトクロームb561とともに働きアスコルビン酸トランスポーターとして 働いている事を解析する。 マウスおよびヒトのデヒドロアスコルビン酸トランスポーターをバクテリアで大量発現する系を作製し、これを用いて目的タンパク質を精製した。 デヒドロアスコルビン酸トランスポーターの輸送活性を測定するために、リポソーム再構成系を構築しグルコースを基質とした輸送活性の測定系を構築した。このトランスポーターのグルコース輸送の基質特異性などを解析した。その結果、このトランスポーターがデヒドロアスコルビン酸を認識することを明らかにした。また、マウスおよびラットの副腎からクロマフィン顆粒を単離し、このトランスポーターの局在をウエスタンブロットで確認した。免疫組織化学的な解析も行い、副腎クロマフィン細胞の分泌顆粒にこのトランスポーターが存在する結果を得た。 また、シトクロームb561タンパク質を同様 にバクテリアで大量発現し精製した。精製条件を検討した結果、ヘムを添加することで、活性がある形でシトクロムb561を精製することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスおよびヒトのデヒドロアスコルビン酸トランスポーターをバクテリアで大量発現する系を作製し、Ni-NTAカラムクロマトグラフィーで精製した。また、シ トクロームb561タンパク質を同様にバクテリアで大量発現し、精製した。精製したb561はヘム含有量が少なく、アスコルビン酸の酸化活性は低かったが、精製時 にヘムを添加する事で高い活性のあるものを得る事ができた。 デヒドロアスコルビン酸トランスポーターの輸送活性を測定するために、リポソーム再構成系を構築し、反応時間、リピド量、再構成条件、反応条件等を検討し た。その結果、グルコースを基質とした輸送活性の測定系の構築に成功した。 また、ラットおよびマウスからクロマフィン顆粒を単離し、デヒドロアスコルビン酸トランスポーターが存在することをウエスタンブロットで確認した。さらに、免疫組織科学的な解析からもクロマフィン細胞の顆粒にこのトランスポーターが存在していることを確認した。 現在、培養細胞を用いた実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
リポソームを用いてデヒドロアスコルビン酸の輸送活性を測定する。また、膜小胞を用いて、輸送活性を測定すると同時に阻害剤感受性やキネティクスが精製タ ンパク質のものと同一か検討する。 培養細胞を用いてRNAi実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
輸送活性の測定が進み、本年度使用額が予定より少なかったため。
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