研究課題
プラスマローゲン合成不全であるペルオキシソーム形成障害マウスとプラスマローゲン合成初発酵素であるdihydroxyacetonephosphate acyltransferase のノックアウトマウスの肝臓を含む複数の末梢組織、および脳の複数の領域でプラスマローゲン合成の律速酵素であるFar1のタンパク質レベルが野生型と比較して増加する結果を得た。すなわち、個体においてもプラスマローゲンの生合成はFar1の発現レベル調節によって制御されるものと推察される。プラスマローゲン合成不全マウスの小脳は、ミエリン形成が障害される。昨年度に見出したプラスマローゲン合成不全マウスの小脳におけるコレステロールの減少は、コレステロールを前駆体とする24-ヒドロキシコレステロール(24OHC)の生合成を抑制し、さらに24OHCをリガンドとする核内受容体liver X 受容体依存的なミエリン塩基性タンパク質(MBP)の発現を抑制するため小脳におけるミエリン形成が障害されるとの病態発症機構を明らかにした。この成果は、プラスマローゲン恒常性維持の生理的役割の一端を明らかにした新たな知見である。肝臓のプラスマローゲンは他の臓器と比較して非常に少ない。野生型マウスの肝臓におけるプラスマローゲンは、アルキルグリセロール (AG) 投与によって顕著に増加した。培養細胞においてプラスマローゲンの増加は、コレステロール生合成の中間体であるスクアレンのエポキシ化を触媒する酵素であるsqualene monooxygenase (SM)の分解を促進することを明らかにしている。同様のSMタンパク質レベルの低下は、AGを投与したマウス肝臓でも認められた。これらの結果から肝臓におけるプラスマローゲンの恒常性の維持は、SMのタンパク質レベルを高く保ち、SMが担う代謝物合成を促進するとの生理機能が推察される。
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