研究課題/領域番号 |
17K07370
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
吉村 建二郎 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (10230806)
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研究分担者 |
飯田 秀利 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (70124435)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機械受容チャネル / シロイヌナズナ / カルシウム / リポソーム / 電気生理学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、シロイヌナズナのCa2+透過性機械受容チャネルMCA1とそのパラログであるMCA2の構造と機能を明らかにすることである。MCA1とMCA2タンパク質はそれぞれ421と416のアミノ酸残基から成り、互いにアミノ酸配列上73%相同であり、両者の構造上の特徴(すなわち、N末端膜貫通セグメント、EFハンド様モチーフ、Coiled-coilモチーフなど)は共通である。両タンパク質はアフリカツメガエルに発現させた時に、機械受容性の陽イオン透過を仲介することが示されているが、両タンパク質そのものが単独で機械受容チャネルとしてはたらくか否かは不明である。そこで本研究ではまず、両タンパク質をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成法で合成した後、精製し、リポソームに組み込み、電気生理学的方法でチャネル活性を測ることを試みた。その結果、MCA1とMCA2の両方とも、全長のタンパク質をコムギ胚芽無細胞タンパク質合成法で合成すると集合体を形成するために、精製が困難であることが分かった。そこで、酵母発現系でCa2+透過活性のあることが分かっているN末端から173番目までのアミノ酸残基からなる切り詰め型タンパク質(MCA1[1-173]とMCA2[1-173])を合成・精製することを試みた。その結果、MCA1[1-173]とMCA2[1-173]は合成・精製することができた。ただし、MCA2[1-173]の方が量的に多く精製できたので、当面はこれを活性測定に用いた。電気生理学的な解析により、MCA2[1-173]は確かに機械受容陽イオンチャネル活性をもつことを示すことができた。また、リポソーム内にCa2+指示薬を入れてCa2+透過の有無を調べた結果、確かにMCA2[1-173]はCa2+を透過させる活性をもつことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切り詰め型MCA2タンパク質であるMCA2[1-173]を使って、合成、精製、活性測定の実験系を確立することができた。そのため、今後この実験系をMCA1[1-173]タンパク質にも同様に適用できる見通しがついた。ただし、全長のタンパク質の精製法については今後検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
切り詰め型MCA2タンパク質であるMCA2[1-173]とMCA1[1-173]を使って、機械受容チャネルとしての基本的性質(機械受容性、開確率、イオン選択性など)を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品を最後に購入したが、助成金額にぴったりとは合わなかったため、次年度使用額が生じた。 2018年度は、全額消耗品に使用する予定である。
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