研究課題
アクチン繊維が切断される分子機構を解明するために脱重合過程を検討した。まず、脱重合をF型からG型への転移と考え、分子シミュレーション(MD)を用いて状態間転移を検討した。この成果をJ Mol Biolにて発表した。線維内でF型がG型にもどり解離する過程を検討するために、F2A4結晶構造と6djmを参考にして線維の原子モデルを構築した。本年度は、3~9分子からなる線維を用いてMDを行い、線維内の分子ゆらぎを検討した。また、pulling MDを行い、脱重合のパスを検討した。フラグミンによるアクチン線維切断のカルシウム制御機構を検討するために、カルシウム存在下でフラグミンを結晶構造解析した。カルシウム結合ゲルゾリンの構造と比較し、フラグミン特有のカルシウム結合サイトを見出した。この成果をJ Muscle Res Cell Motilにて発表した。本年度は、カルシウム非存在下で結晶をえることが出来なかったため、X線小角散乱法を用いてカルシウム結合による影響を検討した。フラグミンはカルシウム非存在下でコンパクトな構造をとるが、カルシウムの結合によりアクチン結合部位が露出され、線維への結合・切断が起こるモデルを得た。フラグミンによる線維切断機構を検討するためにはその各部位の役割を同定する必要である。フラグミンN末端部位の役割を検討するために、ΔN型フラグミンを作成・精製し、全反射顕微鏡を用いてアクチン線維が切断されていく様子をリアルタイムで観察・計測した。ΔN型はアクチン線維を切断する速度が低いこと、N末端部位の重要性を明らかにした。また、今まで用いてきたAlexa488 NHS-Esterの入手が困難になったため、ATTO520 NHS-Esterでの染色を試み、さらに、アクチン重合ダイナミクスにほとんど影響しないことを確認して、アクチン線維切断1分子測定法を最適化した。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 3件)
Journal of Muscle Research and Cell Motility
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