研究課題/領域番号 |
17K07374
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
古野 忠秀 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (80254308)
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研究分担者 |
鈴木 崇弘 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70298545)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発光イメージング / 開口放出 / マスト細胞 |
研究実績の概要 |
神経-免疫シナプスの分子機能解析のために以下の研究を行った。 1)マスト細胞には、細胞内にヒスタミンやセロトニンを含む分泌顆粒が存在しており、抗原刺激によってこれらが放出される脱顆粒が起こる。マスト細胞の脱顆粒をリアルタイムで観察するため、発光イメージングによる測定系を確立した。具体的には、分泌顆粒に存在することが知られているニューロペプチドYとルシフェラーゼの融合タンパク質(NPY-GLase)を発現させたマスト細胞を作製した。そして、細胞外に基質セレンテラジンを存在させておき、脱顆粒によって細胞外に放出されるNPY-GLaseとの酵素反応を生物化学発光により半定量的に検出することに成功した。また、この測定法は、厚みのある細胞外マトリックス上に存在する細胞の脱顆粒の測定にも応用できることを見いだした。 2)我々は、これまで神経-免疫シナプスの分子機能をガラスまたはプラスティックなどの硬い素材の上で観察してきた。本研究では、生体の組織の硬さに近い細胞外マトリックス上でのシナプスの形成過程及び機能の解析を行うことにした。そのために、まず、ハイドロゲル上でのマスト細胞の刺激応答を追究した。その結果、ハイドロゲル上では、抗原刺激に伴う細胞内カルシウムイオン濃度上昇はガラス基板上と同程度に起こるものの、脱顆粒が顕著に抑制されることを明らかにした。それには、微小管の翻訳後修飾の一つであるアセチル化の減少が関わっていると考えられる結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、これまで通り、プラスティックまたはガラス基板上で神経-免疫シナプスの機能解析を行う計画であった。しかし、研究を進める過程で、より生体組織の硬さに近い環境下で細胞機能の計測を遂行することが重要であると考えるに至った。それには、発光イメージングでは、厚みのある細胞外マトリックス上での開口放出の検出が可能であることが分かったことも理由の一つになっている。今年度はハイドロゲル上での細胞応答を中心に解析を進めており、神経-免疫シナプスの追究には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
ハイドロゲルなどの生体組織の硬さに近い細胞外マトリックス上での神経-免疫シナプス形成過程における分子群の局在解析、および、マスト細胞の脱顆粒に果たす神経-免疫シナプスの役割の追究を行い、神経原性炎症疾患に対する治療薬の新規標的分子の探索につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の研究と共通性の高い試薬・器具・用品などに関して、無駄のないように効率的に使用した結果である。翌年度も効率的に使用し、翌年度分と合わせて円滑な研究の遂行に活用する。翌年度は最終年度でもあり、集大成として、国際学会や原著論文での研究成果の公表に使用したい。
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