研究実績の概要 |
研究代表者が最近開発した超解像顕微鏡法IRIS(Image Reconstruction by Integrating exchangeable Single-molecule localization)は、既存の手法よりも高密度な標識による精緻な画質と標的タンパク質の連続多重染色を可能にしている(Kiuchi et al., Nature Methods 12: 743-746, 2015)。IRISでは、標的タンパク質に結合解離する蛍光プローブによって、標的を標識する。結合解離プローブは、絶えず入れ替わっているため、標的に強く結合する蛍光抗体や蛍光タンパク質による標識と比べて、蛍光退色によるシグナルの消失がない。このためIRISは、多数枚の蛍光画像が必要になる3次元超解像イメージングに適している。本研究では、ライトシート状のレーザーを斜めに照射するHILO様照明とIRISを組み合わせることで、Zスライス超解像画像を得ることを可能にした。さらに顕微鏡とカメラの間に補償光学系を導入することで、astigmatismを利用して蛍光単分子のZ方向の位置を高精度に決定することを可能にした。この3次元超解像イメージングへと発展させたIRISによって、細胞頭頂部の微小管が、Z方向で幅500 nmの範囲内で重なり合っている様子が観察できた。これらの研究成果は、第69回日本細胞生物学会年会(2017.6, 仙台)や第10回「細胞を創る」研究会(2017.10, 京都)、第50回バイオサロン(2017.12, 京都)で報告した。
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