研究課題
細胞の発がん過程において、がん細胞は自らの増殖に都合良くエネルギー代謝経路を再構築することが知られているが、その実態は明らかでない。研究代表者らは、E3ユビキチンリガーゼCOP1の研究から以下のことを見いだした。1)COP1-Trib1複合体によるC/EBPalの分解促進が分化阻害を惹起し、白血病発症の原因となる。2)白血病関連因子MLF1はCOP1を結合阻害し、C/EBPaおよびMLF1-COP1-p53がん抑制経路の安定化に寄与する。3)COP1 の新規標的分解因子群を同定し、既知・新規ともに機能的に例外無く、発がん関連およびエネルギー代謝経路に分類される。本研究では、がん細胞が如何にして増殖に必須の特異的エネルギー代謝機構を獲得するのかを、COP1を中心とする発がん・エネルギー代謝ネットワークの研究から明らかにすることを目的とした。初年度(平成29年度)は、E3ユビキチンリガーゼCOP1-Trib1複合体による白血病発症機構に、COP1 新規標的分解因子、特に代謝関連因子が関与する可能性を検定した。その結果、COP1-Trib1複合体は、骨髄系前駆細胞分化促進因子C/EBPaばかりでなくACCを含む代謝酵素群をも分解標的とすることを見いだした。主な標的代謝因子群の遺伝子クローニングと発現ベクターの構築を終えた。次年度(平成30年度)は、上記発現ベクターを用いて、細胞培養系を用いた基本的な解析(直接結合、蛋白質分解能、ユビキチン化能、特異的結合部位の特定)を行い、分解制御を受けにくい代謝酵素変異体を作製した。これら代謝酵素群及びその変異体が白血病発症過程に与える影響を骨髄移植マウスモデルを用いて検証した。最終年度(令和1年度)は、これら代謝酵素群及びその変異体が白血病発症過程の早期に与える影響を骨髄移植マウスモデルおよび細胞培養系を用いて、さらに詳細に解析した。
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