研究実績の概要 |
研究代表者は、ヒトES細胞のトランスクリプトーム解析を進める中で、神経ガイダンス因子SEMA6AがヒトES細胞で高発現していること、また多能性の喪失に伴い発現がドラスティックに低下することを見いだした。そこで、ヒトES細胞におけるSEMA6Aの機能を明らかとするために、先行研究(Chen Y et al, Cell Stem Cell, 2015)のストラテジーに従いSEMA6Aコンディショナルノックアウト(SEMA6A cKO)ヒトES細胞の樹立を試みた。まず、ヒトSEMA6Aローカス中のエクソン2をflip標的配列で挟んだ相同組換えターゲッティングベクターを作成した。またエクソン2前後のイントロン中に適切なgRNAペアを決定し、それぞれのgRNA発現ベクターを構築した。これらを、Cas9発現ベクターとともにヒトES細胞株KhES-1に導入し、薬剤選択の後、片アレルを欠損、もう片アレルが相同組替え起こした変異株(SEMA6A deltaE2/flip)3ラインをクローニングした。各ラインに対し、薬剤耐性遺伝子カッセットの除去、AAVS1サイトへの人工ホルモン誘導型FLIP(ERT2-FLIP)のノックインを行い、SEMA6A cKO細胞株を得た。それぞれのゲノム改変はPCR及びシークエンスにて確認した。これらを人工ホルモン4-OHTで処理し、エクソン2の欠損が誘導できるかどうかを確認したところ、いずれも先行研究にあるような高効率な遺伝子欠損誘導が認められなかった。現在、その原因を探っているところである。
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