研究課題/領域番号 |
17K07400
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
池田 一穂 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (20642565)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞内物質輸送 / ゲノム編集技術 |
研究実績の概要 |
細胞内物質輸送は、細胞機能を支える主要な機構の一つである。細胞内を輸送される小胞や細胞小器官の多くは、複数の分子モーターにより細胞骨格上を双方向に輸送されるが、輸送方向や細胞骨格間の乗り換えの制御機構については不明な点が多い。本研究は、魚類・両生類の黒色素胞細胞をモデルシステムとし、特に細胞内物質輸送における細胞骨格間の乗り換えに関わる分子機構の解明を目指す。黒色素胞細胞内に無数に存在するメラノソームは、ホルモン刺激に応答し、細胞内で可逆的に凝集と拡散を繰り返す。メラノソームの細胞中心への凝集過程では、ダイニンによる微小管上の輸送が主であり、細胞全体への拡散過程では、微小管とキネシン2及び、その後期ではアクチン繊維とミオシンがメラノソーム輸送を担う。小胞の輸送制御においては、個々の小胞に結合し輸送の動力に直接寄与する分子モーターの個数の変化が重要なカギを握るが、これまでこのような分子モーター数の直接計測は困難だった。本年度では、個々のメラノソーム輸送に直接寄与する分子モーター数の解析手法について共同研究を進め、報告した(doi: 10.1038/s41598-019-41458-w)。この中で、局所詳細釣り合いに基づく揺らぎの定理を利用した、小胞上の分子モーター数の直接測定を行い、凝集過程における個々のメラノソームが、複数のダイニンによって協同的に輸送されることを示した。他に、任意遺伝子の局在を制御するためのゼブラフィッシュの系統作成も進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
局所詳細釣り合いに基づく揺らぎの定理を利用した、小胞上の分子モーター数の直接測定に関しての共同研究を報告した。
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今後の研究の推進方策 |
分子モーター及びその制御因子へのCIDタグの導入を含む変異型ラインを確立し、小胞の細胞骨格乗り換えに際する分子モーター数制御の機構解明に迫る。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品の国内在庫の不足等により次年度への繰り越しが発生したが、次年度に予定していた細胞生物学試薬の購入に使用する。
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