血液は平時には流動性を保ちつつ、血管の損傷時などには直ちに凝固しうる。すなわち流動性と凝固能という一見対照的な特性を併せ持つことで、合理的な全身循環系を形成している。血管内皮細胞は血管の内腔を覆う一群の細胞である。止血因子von Willebrand因子は血管内皮細胞で産生される。合成されたVWFは、止血に備えるため血管内皮細胞内に適切に貯蔵される必要がある。本研究課題では、血管内皮細胞におけるvon Willebrand因子の貯蔵機構を明らかにすることを目的に研究を行った。その結果、細胞内の微小酸性環境を形成する因子が、その貯蔵に寄与することを見出した。
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