研究課題
基盤研究(C)
造血幹細胞は、自己複製能と多分化能を有する血液細胞と定義され、生涯にわたり赤血球、血小板、顆粒球、リンパ球といったあらゆる成熟血液細胞を供給しつづけます。しかし、この造血幹細胞が、生体内でどのようにして長期間にわたり維持され、生体の恒常性の維持に寄与しているかは不明な点が多く、自己複製能と多分化能を制御するメカニズムを理解する必要があります。この問題を解く鍵として、申請者が開発した長期造血幹細胞特異的レポーターシステムを用い、自己複製能と多分化能を制御するメカニズムの一端を明らかにしました。
幹細胞生物学
造血幹細胞を用いた細胞治療(造血幹細胞移植)は、白血病等の悪性血液疾患の根治療法として60年以上にわたり広く用いられています。その一方で、造血幹細胞移植に伴う副作用には致死性のものが多く、より安全な治療法の開発は極めて重要な課題であります。そのためには、造血幹細胞の基本となる細胞機能の理解は必須であり、今回の研究成果は造血幹細胞を含む他幹細胞においても有益な情報となります。また将来の造血幹細胞を用いた新規治療法開発に大きく貢献することが期待されます。