研究課題
環境に応じた脳神経回路の組みかえは行動の変化に直結することから、個体の生存や繁殖に重要であると考えられる。申請者らは、ショウジョウバエの糖応答性ホルモンCCHa2が雄の求愛行動を制御することを見出した。おそらく、CCHa2は環境 (栄養) 情報を求愛行動を支配する脳神経回路 (Fruitless神経回路) 形成の場に伝える役割を持つと考えられる。本研究では、栄養-ホルモン-神経回路-行動の背景にある制御機構の解明を目指し、(1) CCHa2が糖の摂取依存的に合成されるメカニズム、(2) Fruitless神経回路形成におけるCCHa2の役割を解析している。今年度は、2018年度までに得られた結果を発展させ、以下のような成果を得た。(1) については、2018年度までにCCHa2の発現に糖応答性転写因子Mondoが必要であることを明らかにした。そこで、Mondoの核移行およびMondo依存的な遺伝子発現を指標として、Mondo転写因子の活性化に必要な糖代謝経路の同定を行った。その結果、通常の栄養状態においては、グルコースの副代謝経路であるポリオール経路が主要な役割を果たすことが明らかになった。一方、飢餓状態においては、ポリオール経路は不要であることが明らかになった。おそらく、解糖系やペントースリン酸経路がMondo活性化に関与すると考えられる。(2) については、CCHa2の機能時期を特定するためにFlip-outの条件検討を行ったが、至適条件の決定には至らなかった。
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