あらゆる細胞種になれる万能細胞であるES細胞の元になる哺乳類の内部細胞塊は発生過程のごく初期に一過的に現れるが、発生過程が進むと万能性を持つ細胞は失われる。一方で、プラナリアは大人になっても多くの万能細胞である新生細胞を身体中に維持して、がん化させることなく自由自在に操っている。ES細胞を成体内で維持する機構がない哺乳類では、長期にわたる万能幹細胞の維持のメカニズムを知ることはできない。今回、プラナリアというユニークな生物を使うことで、哺乳類ではガンの転移の際に働くことが知られているMTA遺伝子が万能細胞の維持、移動、分化に関与しているらしいことを明らかにできた。
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