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2018 年度 実施状況報告書

単一細胞解析による精子幹細胞システムの可塑性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07424
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

中川 俊徳  基礎生物学研究所, 生殖細胞研究部門, 助教 (50456894)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード精子幹細胞 / 幹細胞 / 精巣
研究実績の概要

ほ乳類の恒常的な精子の産生を担う精子幹細胞は、「Actual stem cell (ASC)」と「Potential stem cell (PSC )」という二つの機能的に異なる集団から構成される。PSCは正常な精子形成時では分化するが、傷害後の再生時では、その予定運命を転換しASCへと「逆戻り」する。この過程におけるPSCに起こる状態の変化 を、単一細胞の遺伝子発現解析により明らかにすることを目的とした。
前年度に選定した実験系(集積流体回路 (FludigmC1、Biomark HD)をもちいたmultiplex qRT-PCR)は、検出感度や再現性が優れたものであった。その一方で、限られた遺伝子のみ(最大96遺伝子)しか検出できないという欠点がある。したがってどの遺伝子を検出するかが実験の要となる。前年度に選定した遺伝子の他にさらに有用となる遺伝子を検討した。そこで、再生時のASC分画とPSC分画をFACSで回収し、遺伝子発現をqRT-PCRにて検討した結果から、再生時のASC分画とPSC分画で特徴的な発現を示す転写因子を同定した。今後この遺伝子を含めて検討する。
再生時の遺伝子発現の変化を捉えるためには、まず正常時の遺伝子発現パターンを知る必要がある。そこで、正常マウス由来のASCとPSCを含む分画の遺伝子発現パターンを解析した。今後この結果をもとに、再生時の変化を解釈する。
それぞれの実験間の差は今後の実験で問題となるため、実験の誤差がほとんどない実験系の構築を試みた。結果に重大な結果を及ぼす可能性が高い試薬やプライマーセットなどの検討、実験ステップの簡略化などを行った結果、主成分分析を用いて解析しても実験間で差が認められない程の再現性が得られた。
このような実験結果をもとに来年度は実際に再生時の変化を捉えたいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

単一細胞の遺伝子発現解析方法の検討に時間を費やしたため。

今後の研究の推進方策

平成29年度及び平成30年度で構築を行った実験系を用いて、実際に再生時の遺伝子発現パターンを検討する。また得られた結果を統計解析し、個別の細胞および集団がどのように変化したのか検討する。また細胞の"先祖返り"に伴う遺伝子のプロファイルを元に、その現象に必須の遺伝子の同定を試みる。
現在、再現性や感度がよい単一細胞の遺伝子発現の実験系を構築できた。しかし同一個体から回収した細胞は、実験系の都合上、複数回にわたって解析ができない。この点を改善するために、細胞の調整方法を検討する。

次年度使用額が生じた理由

実験の進行の遅れにより、使用する消耗品等の購入が遅くなったため。
マウスに投与する薬剤、細胞を回収するための試薬など本研究の要となる実験に使用する物品の購入に充てる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Competition for Mitogens Regulates Spermatogenic Stem Cell Homeostasis in an Open Niche2019

    • 著者名/発表者名
      Kitadate Y., Jorg DJ., Tokue M,. Maruyama A., Ishikawa R., Tsuchiya S., Segi-Nishida E., Nakagawa T., Uchida A., Kimura-Yoshida C., Mizuno S., Sugiyama F., Azami T., Ema M., Noda C., Kobayashi S., Matsuo I., Kanai Y., Nagasawa T., Sugimoto Y., Takahashi S., Simons BD., Yoshida S.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell

      巻: 24 ページ: 79~92.e6

    • DOI

      10.1016/j.stem.2018.11.013

  • [学会発表] Mouse spermatogenic stem cells interconvert between different states at the top of differentiation hierarchy2018

    • 著者名/発表者名
      Toshinori Nakagawa, David Jorg, Ben Simons, Takashi Nagasawa, Shosei Yoshida
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor meeting: Germ Cells
    • 国際学会
  • [学会発表] Spermatogenic stem cells interconvert between different states at the top of differentiation hierarchy2018

    • 著者名/発表者名
      Toshinori Nakagawa, David Jorg, Ben Simons, Takashi Nagasawa, Shosei Yoshida
    • 学会等名
      日本発生生物学会 秋季シンポジウム 2018

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公開日: 2019-12-27  

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