生命科学研究では、既知遺伝子のホモログを他の生物で解析する手法が主流であり、往々にして種間で保存された遺伝子が注目される。本研究では、多様な生物種の全ゲノム情報を活用し、進化の過程で比較的最近(約1億年以内)に創成されたため他の多くの生物にホモログのない「若い」遺伝子に注目した。その結果、多様な脊椎動物において、遺伝子様構造、転写のエビデンス、及び翻訳の可能性を示す分子進化学的特徴を備える候補を多数同定した。これらは発生期に組織特異的発現パターンを示す遺伝子を含み、保存的とされる発生プログラムに「若い」遺伝子が含まれること、並びに、それらが種間の発生過程の相違を説明する可能性が示唆された。
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