研究課題/領域番号 |
17K07427
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
西村 珠子 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40415261)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Wnt / PCP / BARタンパク質 |
研究実績の概要 |
神経管は、神経上皮細胞層が前後軸に沿って陥入し、管腔を形成したものである。神経上皮細胞層が陥入する際には、平面内極性分子Celsr1が背腹軸方向の細胞間接着に分布し、アクチン繊維を極性収縮させるが、Celsr1を背腹軸方向に分布させるための上流シグナルは未解明である。そこで、細胞に加わる機械的刺激やWntリガンド等の内的刺激がCelsr1を極性分布させる可能性について検討を行っている。 今年度は、Wnt分子の細胞外小胞を介した分泌におけるBARタンパク質の関与について検討した。BARタンパク質は、脂質膜に結合して突起構造や陥入構造を形成することが知られ、Wnt8aの細胞突起への分布を介した細胞間情報伝達に関与するとの報告や、神経管形成に関与するとの報告がある。またこれまでの検討で、数種類のBARタンパク質が形成中の神経管の内腔に分布することを見出しており、Celsr1の極性分布に関与する可能性がある。 そこでまず、数種類のWnt分子に内部タグを付加して293-FS細胞に発現し、その培養上清から細胞外小胞を調製し、解析した。その結果、Wnt分子はいずれも大部分がエクソソーム画分に検出され、一部がマイクロベシクル画分にも検出された。次に、BARタンパク質がWntの分泌に与える影響を調べるため、Wnt分子と活性化BARタンパク質を共発現した細胞の培養上清から細胞外小胞を調製し、解析を行った。その結果、一部のWntはBARタンパク質依存的に分泌が増加することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Celsr1の極性形成に重要と考えられるWntの分泌過程において、BARタンパク質が関与する可能性があるという新たな知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究成果に基づき、その発展を図る。まず、Wntの細胞外小胞を介した分泌におけるBARタンパク質の関与を、Wnt下流分子の活性化も含め、より詳細に調べる。また、WntおよびBARタンパク質を発現した細胞で免疫染色を行い、細胞突起や分泌小胞において両者が共局在するかを調べる。さらに、内在性のWntを分泌する上皮細胞でBARタンパク質のノックダウンを行い、Wnt分泌への影響を調べる。また、Wnt発現細胞とCelsr1発現細胞を共培養し、Wnt発現細胞でBARタンパクを発現またはノックダウンした際にCelsr1の極性分布が変化するかを調べる。そして、ニワトリ胚でBARタンパク質をノックダウンし、Celsr1の極性分布に影響が出るかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでに研究を効率的に、かつ一括購入等により試薬購入を計画的に進めた結果、直接経費を予定よりも節約することができた。本年度の実験計画において、抗体やsiRNAを各々複数個購入する必要が見込まれるため、翌年度分の助成金と合わせて効率的かつ計画的に使用する予定である。
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