研究実績の概要 |
大脳新皮質はインサイドアウトの層構造を特徴とする。この特徴的な層構造の獲得により哺乳類は飛躍的な進化を遂げたと考えられる。この大脳新皮質は発生期にどのようにしてできるのだろうか?膨大数のニューロンによる精巧な構造が、胎児期という限られた発生時間内に完成するには、ニューロンの新生、移動、また軸索投射等の現象が同時に、かつ互いに同調して進行する必要があるが、その総合的な制御メカニズムは未解明である。サブプレートニューロン(SpN)は大脳皮質発生過程で最初期に誕生し、生後大部分が消失するが、最近その神経活動が新生ニューロンの移動モード変換のタイミングを制御することが明らかになった(丸山ら, Science, 2018)。サブプレートは哺乳類独特であり、視床-皮質連絡の形成にも関与することから、哺乳類脳の構築において司令塔的な役割を果たしていることが示唆される。しかし、そのサブポピュレーションの特徴や機能分担などについては未解明なままである。今年度は、サブプレートニューロンのサブタイプを同定する目的で、サブプレートニューロン特異的にGFP陽性になっているTgマウス、Lpar1-EGFPを用いてE17の大脳皮質よりサブプレートニューロンのみをFACSでsortした後、フリューダイムのC1システムを用いてシングルセル解析を行った。シングルセルRNAseqを行ったのち、得られたデータをRのパッケージであるSeuratを用いて解析を行った。その結果ニューロンのマーカー遺伝子でも、分化の度合いによって異なるマーカーを発現する細胞集団が存在することがわかった。
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