2022年度は、下記の課題1の4)と5)について、変異体の原因遺伝子の特定を行った。事業実施期間全体で下記成果を得た。 (課題1)1)野生型とは逆に、短日条件下の方が長日条件下よりも栄養成長時の葉枚数が少なくなり早咲きとなる、短日性変異体である elf3;giでは、FT遺伝子の発現量は長日条件下で低く、短日条件下では高くなることを確認した。2)短日条件+暗期中の短時間赤色 光照射(暗中断)のもとでは、短日性変異体であるelf3;giでは、FT遺伝子の発現量が低下することを確認した。3)GI遺伝子の過剰発現体が恒明条件下で栽培した際に、個体サイズが小型化することを見出した。概日時計または花成関連遺伝子の突然変異との多重変異体を作出した。いくつかの変異がGI-oxの効果を有意に抑圧することを見出した。4)Ws及びCol背景のelf3変異体を用いて、EMSによる点突然変異導入系統の作出、elf3;gi二重変異体候補の単離、変異体の解析を実施した。5)Ler背景のelf3;gi変異体を用いて、EMSによる点突然変異導入系統の作出、elf3;gi形質の抑圧・増強変異体候補の単離、変異体の解析を実施した。 (課題2)野生型とは逆に、短日性変異体であるelf3;giでは、実験室内条件下と同様に、自然条件下の短日条件下の方が長日条件下よりも栄養成長時の葉枚数が少なくなり早咲きとなることを確認した。 (課題4)1)シロイヌナズナ以外の長日性植物としてBrassica rapaに関する研究を進めた。John Innes Centreより、GIGANTEAとELF3の相同性遺伝子 の点突然変異体系統の種子をそれぞれ複数入手した。短日及び長日条件下で播種し、コントロール植物との花成時期を比較した。変異体種子の増殖を行い、二重変異体の作出を試みた。
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