研究課題/領域番号 |
17K07458
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
黒森 崇 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80332295)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 植物ホルモン / アブシジン酸 / 維管束 / 気孔 / 孔辺細胞 / 膜輸送 / 膜タンパク質 / 変異体 |
研究実績の概要 |
多細胞生物において、ホルモンなどの生理活性物質は、生合成場所から作用場所への機敏で正確な伝播制御が要求されます。植物にとって水分状態を感知・伝播して、気孔を最適な状態に維持していくことは、個体レベルで水分蒸散を調節するための最も重要なネットワーク制御の一つです。 本研究では、孔辺細胞に作用し気孔閉鎖を促進するアブシジン酸が、一般的な動物のホルモンのようにエンドクラインで働くのか、あるいは植物ホルモンでこれまで考えられてきたようにオートクラインで働くのかについて明らかにします。さらに、それらの作用に関わり介在する膜タンパク質因子はどのようなものであるかについても解明します。植物におけるホルモン生合成と組織間における伝播輸送ネットワーク、そしてそこに関わる制御因子と作用機序の理解を目指しています。 本年度は、二つ目の課題である「気孔閉鎖に影響を与える遺伝子(他組織で発現している膜輸送体や膜タンパク質)があるか?」について明らかにするため、遺伝子破壊型の変異体シリーズを用いて、機能ゲノム学的なアプローチによる解析を行いました。 具体的には、公共のデータベースを用いて気孔から離れた組織である維管束に発現している遺伝子や、膜輸送体や膜タンパク質をコードする遺伝子に注目して、変異体が入手できる遺伝子に関して各々遺伝子破壊系統を準備しました。さらに、各遺伝子破壊系統について、水分蒸散量を調べるために赤外線カメラ(サーモグラフィー)を用いた観察により、水分蒸散量に違いのある変異体のスクリーニングを行いました。これまでに合計550系統の観察を行い、この中から水分蒸散量に違いの見られる3つの系統を単離しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した研究内容を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
一つ目の課題であるネットワークの解析、二つ目の課題である変異体を用いた解析、ともに継続してより詳細な分析を進めます。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品購入時の品目や製品の選別を行うことにより一部残額として次年度使用額を得ました。次年度は実験植物の育成に必要な消耗品や変異体植物の解析に必要な試薬を購入する予定です。
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