研究課題
基盤研究(C)
本研究では、褐藻類の細胞質分裂に特徴的なプレート状アクチン構造の働きを明らかにする目的で、頂端分裂細胞を有するHalopteris congesta (クロガシラ目)を主な研究材料として、微小管とアクチンのライブイメージング、細胞質分裂阻害実験、細胞質分裂関連タンパク質候補の単離と局在解析に取り組んだ。その結果、そのプレート状アクチン構造の形成と形態維持には微小管との相互関係が必要であること、そして、隔膜形成への関与が確かめられる結果を得ることができた。
細胞生物学
これまで、細胞質分裂における知見は、動物・酵母(オピストコンタ)、陸上植物(アーケプラスチダ)から得られたものであり、真核生物全体における細胞質分裂の共通性と多様性を理解するためには、褐藻類といった他の真核生物のグループからのアプローチも必要であるという点で学術的意義がある。また、細胞質分裂が正しく行われるかどうかは、その後の多細胞体制の構築、発生に重要な意味をもたらす。沿岸生態系を支える褐藻類の体の作り方を理解することは社会的意義のあるものだと考える。