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2017 年度 実施状況報告書

細胞集団の異質性に由来するオーガナイザー細胞から3D形態形成にいたる原理の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K07463
研究機関弘前大学

研究代表者

福澤 雅志  弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10231557)

研究分担者 澤井 哲  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20500367)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード3D形態形成 / 細胞異質性 / イメージング解析 / トランスクリプトーム / 生理活性物質 / ユビキチンドメイン
研究実績の概要

モデル生物「細胞性粘菌」では、増殖期の未分化な細胞が飢餓シグナルを受けると、集合体内で予定柄細胞と予定胞子細胞が”salt & pepper”状態で分化し、その後細胞分別によって多細胞の3D形態となる。この過程で重要なチップは予定柄細胞からなり、粘菌の移動体におけるオーガナイザーとして、形態形成を統合している。チップの機能に重要な柄細胞サブタイプはpstVA細胞と呼ばれ、これまでの研究で3D形態形成に必須の細胞群であること、未分化な増殖細胞集団内の異質性に起源を持つこと(プライミング; lineage-priming )、を明らかにしてきた。
本研究は、この増殖期にプライムされるpstVA細胞に着目し、(1)3D形態形成に必須のcAMP波との関連の検証、(2) pstVA細胞分化をになう分子機構の解明、により、分化プライミングから3D形態形成にいたる多細胞化の原理に挑む。
初年度はまず、pstVA細胞とcAMP波との関連をイメージング解析するための形質転換体の作成を試みた。pstVA細胞マーカーubdAp-RFPとcAMP濃度を感知するFRETマーカーflamindo2-GFPでラベルした細胞を研究分担者のラボでイメージング解析を試みたところ、flamindo2-GFP は期待通りにcAMP波による変動が観察できたが、ubdAp-RFPのシグナルが徐々に見えなくなる現象が起きたため、詳細な解析には至らなかった。また、大阪大学の共同研究者から受入れたインターンシップ学生の協力を得て、次年度実施する計画であったトランスクリプトーム解析を前倒しで実施しデータ取得することができた。培養上清中(conditioned medium: CM)に存在し発生を制御する分泌因子については、高分子のタンパク質(促進因子)、熱に耐性をもつ低分子物質(阻害因子)であることを突き止めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度から研究分担者との連携により、pstVA細胞とcAMP波との関連をイメージング解析する計画であったが、作成した形質転換体のRFPシグナルが減衰してしまう現象に直面したため、データ取得にはまだ時間がかかると予想されるので、当初の計画よりも少し遅れていると判断した。しかし、次年度の実施計画であったトランスクリプトーム解析のデータ取得が初年度で完了したので、この点は早期に達成したと言える。また、CM中の生理活性物質の特性を明らかにすることができた。よって、当初の計画通りにいかない部分もあったが、全体的には順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、研究計画全体の達成目標および計画に沿って、(1)pstVA細胞とcAMP波のイメージング解析(2)pstVA細胞分化に関わるシグナルおよび遺伝子解析(3)形態形成に関わる分泌因子の同定、について研究を遂行していく。

(1)については、初年度に直面したラベルの安定性の問題についての解決を図る。初年度使用したシングルコピーubdAp-RFPはコピー数の変動がないため採用したが、結果的にRFPシグナルの減衰が見られたため、ubdAp-RFPおよびomt12p-RFPのマルチコピーのベクターを用いて安定してシグナルが見られるクローンを分離して解析に用いる。また、共同研究者のラボで開発した、ハロタグによる一過性発現ベクター(omt12p-halo)も利用し実験する。
(2)については、すでに同定しているpstVA細胞のプライミングに関係のあるubdA遺伝子について、引き続き解析を進めていく。具体的には細胞内局在や、デリーションによる機能ドメイン解析などである。また、初年度にトランスクリプトームの結果を得ることができたので、ヒートマップ解析し、個別の関連遺伝子候補(各サンプルに対して、それぞれ上位約10遺伝子を発現有意差があるとした)に対してRT-PCRによる発現解析、プロモーターコンストラクトによる発現解析、さらに遺伝子破壊などの分子遺伝学的解析の下準備に取り組んでいく。
(3)については、CMに存在する発生促進因子と発生阻害因子を限外濾過やカラムクロマトグラフィーなどで精製を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者に配分した助成金を当該年度に使用せず、翌年度分として合算し使用することとしたため。翌年度に実施予定のイメージング解析のための訪問時に使用を計画している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] prestalk cell subtype pstVA の増殖期における遺伝子発現パターン2017

    • 著者名/発表者名
      平岡陽花、桑名悟史、福澤雅志、上田昌宏
    • 学会等名
      日本細胞性粘菌学会

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公開日: 2018-12-17  

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