研究課題/領域番号 |
17K07465
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
松田 勝 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 教授 (20414013)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | メダカ / 性決定 / 性分化 / 性ホルモン / 性転換 |
研究実績の概要 |
動物の性別は、卵巣にも精巣にも分化可能な未分化生殖腺が卵巣に分化するか精巣に分化するか、によって決定される。遺伝的に性別の決定されている魚類において、性ホルモンなどの外的要因によって完全な性転換の起こることは1950年代にメダカで示された事実である。しかしながら、そのような性転換時にどのような遺伝子がどのように働くことによって、本来の生殖腺の分化の方向(遺伝的性別)と異なる方向へと分化が進むのかは未だよく分かっていない。そこで、本研究では、応募者の作出した遺伝子破壊メダカを駆使して、遺伝的雌から雄へ性転換する時の分子機構を明らかとすることを目的とした。 このような目的にメダカは最適な実験動物である。メダカの性別はXX-XYの雄ヘテロの遺伝様式で決定され、性決定遺伝子がY染色体上のdmyであることがわかっている。dmyは、孵化数日前のXY胚の生殖細胞を取り囲む体細胞特異的にそのmRNAの発現が始まる。また、変異体の解析から未分化生殖腺を精巣に分化させる際に重要な働きをしていることがわかっているdmrt1とgsdfは、共に性決定遺伝子の発現細胞と同じ細胞で発現する。 本研究では、(a) 近交系として樹立されており遺伝的背景が均一なHd-rR系統、(b) dmrt1コード領域の点突然変異を戻し交配により、近交系Hd-rRの遺伝的背景にいれたdmrt1-KO系統(この変異をホモにもつXY個体は全て雌に分化する)、(c) gsdfコード領域を欠損させることにより、この対立遺伝子をホモにもつXY個体の生殖腺がふ化後5日までは雌型となるgsdf-KO系統、の3系統を用い、通常飼育と、性転換誘導条件下での飼育時の遺伝子発現の変化を網羅的に探索することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
実験に十分な数の卵を得ることができなかったため当初計画より遅れている。 受精卵を通常の飼育水で孵化まで飼育する対照区に加えて,雄への性転換誘導処理を行うこととし、孵化当日の胚をサンプリングする計画であった。受精卵を得るために交配実験を行った。しかし、本年度は、それぞれの交配から十分な数の受精卵を得ることができなかった。さらに、孵化までの日数がばらつき、同日に孵化する胚の数が少なかった。一方,一つの胚からDNAとRNAを同時に抽出する方法は確立した。 孵化までの日数のばらつきを抑えるために、低温インキュベータを飼育室に設置し、安定な条件で受精卵を保温することで、孵化までの日数のばらつきを抑えることができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はさらに、飼育条件を安定化するために、水温条件が一定の循環式水槽で親魚を飼育し採卵することとし、採卵後の卵も安定した温度で飼育するために飼育温度付近で温度を制御できる低温インキュベータで保温することとする。 飼育条件としては以下の5つ、(1) 高温処理、(2) 男性ホルモン(17α-メチルテストステロン)処理、(3) コルチゾール処理、(4) 通常水温・飼育水、(5) 通常水温・エタノール含有飼育水を想定していたが、(1) 高温処理は、孵化までの日数が短くなるため、対照区と遺伝子発現を比較することが困難だと予測されるので、メチルテストステロン処理とコルチゾール処理に絞り込むこととした。
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