研究課題
マウス子宮においてセリンプロテアーゼのKallikrein 1(Klk1)の発現がエストロゲンにより高まる。エストロゲンによるKlk1 遺伝子の転写制御機構を解明することは,子宮におけるKlk1の役割を理解するためには必須で在る。そこで,エストロゲンによるKlk1遺伝子のプロモーター制御機構について解析してきた。Klk1遺伝子の5’上流側のDNA断片を作成し,最少プロモーター領域とエストロゲン応答領域を解析した。転写開始点を+1としたときに,最少プロモータ領域の5'上流端は,-136/-87の領域に在り,エストロゲン応答領域は-433/+24の領域に含まれることが分かった。-433/+24の領域にはコンセンサスestrogen response element (ERE)やコンセンサスAP-1サイトがあり,エストロゲン受容体の結合部域であると考えられる。そこで,各部域に塩基置換をおこないプロモーター活性に及ぼす影響を解析したところ,2つの領域がエストロゲン応答に関与することが分かった。ついでエストロゲン受容体の結合をChromatin immunoprecipitaion (Chip) assayにより解析したところ,前述の2領域にエストロゲン受容体alpha (ERalpha)の結合があること分かった。Estradiolだけでなく,4OH-hydroxytamoxifenは,Klk1 のプロモーター活性及びKlk1 mRNA発現を高めた。このことから,エストロゲン受容体alphaは,-433/+24の領域にある2つのAP-1 サイトに結合して,Klk1のプロモーター活性を高めることが示唆された。
すべて 2019
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Cell and Tissue Research
巻: 375 ページ: 743-754
10.1007/s00441-018-2947-2