研究課題/領域番号 |
17K07477
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
豊岡 公徳 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級技師 (10360596)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高圧凍結技法 / アレイトモグラフィー / 植物細胞 / 3次元超微形態 / 光電子相関顕微鏡 / 細胞内輸送 / 膜交通 / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
通常の化学固定で良好な光電子相関顕微鏡(CLEM)解析の結果を得ているERボディGFP及びペルオキシソームGFP発現株、エンドメンブレン系分子のSCAMP2-YFPや SYP41-YFP形質転換体シロイヌナズナの芽生え(発芽7-10日の根、葉)を用いて、高圧凍結固定・凍結置換を行った。アクリル系樹脂包埋のあとに、ダイヤモンドナイフを用いてウルトラミクロトームにより500nmまたは1000nmの準超薄切片を作製し、カバーガラスに貼付け、共焦点レーザー顕微鏡を用いて蛍光撮影を行った。いくつかのGFP退色防止剤等を含め、最も自家蛍光が少なく、蛍光色素の蛍光強度が強い処理条件を検討したが良好な結果を得られなかった。そこで、低pHに強い緑色蛍光タンパク質または赤色蛍光タンパク質RFPで標識したゴルジ体やエンドソームなどのエンドソーム系のコンストラクト作製および形質転換体の作製を進めた。RFP結合SCAMP2形質転換タバコ培養細胞を用いて、分泌に関与する小胞塊のCLEM解析を進めた。日立ハイテク社とともに、光顕で撮影した部位と同一箇所をFE-SEMで撮影し、正確かつ容易に画像が重ね合わせることができるCLEM解析システムMirrorCLEMの改良を進め、ソフトウェアのグラフィックユーザーインターフェイスを改良し、利便性を向上させた。 これらの成果はオーストラリアで開催された国際顕微鏡会議(IMC19)や日本顕微鏡学会などで発表を行った。また、退色防止剤を用いた蛍光復帰によりCLEM法を国際誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部の蛍光タンパク質を結合させた細胞内輸送系の形質転換体作製が遅れているが概ね順調に進展している。新しい高圧凍結装置を導入し、その技術検討が加わり時間を要しが、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今までより3倍凍結面積が大きい試料を凍結固定できる新しい高圧凍結装置を用いて、シロイヌナズナなどの植物個体の凍結技術の検討を行う。Z軸方向の相関を取るのが難しいため、準超薄切片の蛍光撮影とFE-SEM観察での相関法を検討する。アライメントマークをつけたカバーガラス等用い、最新の共焦点レーザー顕微鏡で広域かつZ方向に撮影するとともに、FE-SEMでも連続切片を撮影するなど工夫する。 100nmなど可能な限り薄い切片を作製し、最新の高感度共焦点レーザー顕微鏡により微弱な蛍光を検出かつ自家蛍光を取り除き、さらにFE-SEMで連続切片撮影することで細胞内膜系の3次元超微形態を明らかにする。
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