ヒトよりも鋭い色識別能力を持つナミアゲハの色嗜好性は、植物の匂いによって変わる。この現象は非常にユニークで、ヒトが匂いによって食べ物の視覚的特徴を想起する神経機構の理解にも繋がるものである。今回発見したいくつもの反対色性神経の特性は、彼らの色知覚を表しているだけでなく、嗅覚情報と特異的に統合される情報そのものである可能性が高い。異なる感覚が脳でどのように統合されて、特定の物体の認知に至るのかは未だいずれの動物でもわかっていない。今回細胞内記録が可能になった神経群の働きは、異種感覚統合の理解において貴重な知見となることは間違いない。
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