研究課題/領域番号 |
17K07492
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
本間 光一 帝京大学, 薬学部, 教授 (90251438)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / 行動学 / 動物 / 薬学 |
研究実績の概要 |
刻印付け(刷り込み)は、孵化直後の鳥類ヒナが親鳥を記憶する早期学習の典型例であり、臨界期を有する学習のメカニズムを解析するよいモデルとなる。本研究では、『鳥類視覚学習回路の臨界期における機能的成熟機構 』の解明を目的として、 1、学習臨界期を決定する細胞内シグナル伝達機構の解明 2、学習能力を賦与する神経回路の形態的および機能的成熟機構の解明 3、学習能力を賦与する分子機構とその生物学的意義の解明、を目指す。 これらの目的のために代表者独自の生化学的・分子生物学的・形態学的手法を利用しながら学習の習得能力と臨界期決定の全体像を神経回路と細胞内情報伝達という観点から解明する。 今年度は、4報の学術論文にその成果を発表した。まず、1報目は刻印付けにおいて、GABA-A受容体とGABA-B受容体の量比が、感受性期の開始と終了にリンクしていることを示した(Front. Physiol.)。また、2報目は甲状腺ホルモンが、刻印付けに伴うバイオロジカルモーションの選好性を強化することを示した(Front. Physiol.)。さらに、3報目はIMHA領域において、Wnt-2bが刻印付けの感受性期を決定する甲状腺ホルモンのシグナルを受け取る液性因子であることを示した(Horm.Behav.)。最後に、4報目は終脳でのDio2発現が、バイオロジカルモーションの選好性とリンクしていることを示した(Behav. Brain Res.)。これらの研究成果は、刻印付けの分子メカニズムとその生物学的意義の解明のために、重要な知見であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、4報の学術論文にその成果を発表した。2年目の成果としてはおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究は、概ね順調に推移し、学術論文は4報発表したので、このままの実験計画に基づき研究を推進していきたい。研究計画の変更は必要とせず、研究を遂行する上で特段の課題は見当たらない。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、消耗品の使用が予定より少なく済んだことが主な理由である。次年度には今年度よりも多くの使用額が生じると考えられるので、概ね順調に推移している今年度の結果を踏まえ、さらに研究推進していくための適切な研究費の使用を計画している。
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