研究課題/領域番号 |
17K07500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
遺伝・染色体動態
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
井上 喜博 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (90201938)
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研究分担者 |
山口 政光 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (00182460)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | anti-microbial peptide / Drosophila / 造血器腫瘍 / RNA-sequencing |
研究成果の概要 |
ショウジョウバエmxc突然変異体では 幼虫造血組織内の未分化細胞が癌化する。原因遺伝子はヒストンmRNAの転写とポリ(A)除去をおこなうHLBの構成因子である。変異体の造血細胞ではHLBが形成されず、ヒストンmRNAの減少、ポリA付きの同mRNAが産生され、クロマチン構造が脆弱であった。その結果、癌関連遺伝子の転写が変化した。同変異体では自然免疫経路が活性化し、AMPの発現が上昇していた。それらの強制発現では、癌組織にアポトーシスが強く誘導され、その増殖が抑制された。正常個体ではAMP大量発現でも影響がなかった。自然免疫系により誘導されるAMPは副作用のない抗がん剤になる可能性がある。
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自由記述の分野 |
発生遺伝学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、獲得免疫系を持たないショウジョウバエでも、自己の細胞に由来する癌細胞に応答して、自然免疫系を活性化できること、その結果、AMPが誘導され、体液中に分泌さえること、AMPの種類により直接癌細胞上に作用したり、体液中の血球細胞にAMPが取り込まれて、癌細胞に作用することがわかった。一方、正常組織にはAMPは作用しない。AMPが癌細胞だけに作用するメカニズムは不明であるが、ショウジョウバエの血球細胞は脊椎動物のマクロファージに相当する。それが癌細胞と正常細胞の認識を行なっている可能性は高い。自然免疫系により誘導されるAMPは副作用のない抗がん剤になる可能性がある。
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