昨年度では、軟骨魚類のうちまだ核型報告が2種しか報告されていないギンザメ目に属する、(ギンザメ、アカギンザメ)において培養細胞を作出し、得られた細胞を用いた核型解析を試みた。しかしながらこれら2種において、染色体中期像をえることができなかった。原因としては、捕獲後速やかに培養開始までもっていくことができなかった点が挙げられる。しかし少ないながらも分裂細胞が観察されたため、今後はわずかな改良により良好な染色体中期像が得られ、他の軟骨魚類種と同様に核型解析が可能になると考えられる。 また本研究で核型を明らかにした軟骨魚類種のうち、イヌザメとテンジクザメにおいてX染色体とY染色体が大きく異なっていた。そこで、イヌザメにおいてY染色体特異的な塩基配列を明らかにするため、この種の染色体中期像からマイクロディセクションによりY染色体ゲノムを単離し、増幅した産物をFISHにおいて染色体分布を確認したのちに、次世代シーケンサーにて配列を明らかにした。その結果、この種のY染色体特異的配列が明らかになった。この情報は、この種における性染色体を含めた染色体レベルの全ゲノム情報構築に大きく貢献できると考えられる。
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