研究実績の概要 |
昨年度、構築した昆虫ゲノム中の水平転移遺伝子を検出するDNA塩基配列解析のシステムを使って、現在ゲノム配列が決定され公開されている8種の内、以前に詳細な解析を行ったエンドウヒゲナガアブラムシ(A. pisum)を除く7種について、水平転移遺伝子の候補遺伝子をリストアップした。現時点では、共生細菌であるブフネラの混入や、部分的に細菌の遺伝子と比較的高い相同性を示しやすいミトコンドリア由来の遺伝子が多数含まれているので、それらを除く作業を行っている。現時点では、細菌により近いDNAの塩基配列が見つかっている領域は、Diuraphis 26、Rhopalosiphum 10, Schizaphis 62, Sipha 16、Myzus 11, Melanaphis 16、Aphis 73である。20を超えるものはブフネラを含んでおり、それらを除くと10前後と予想される。
もう一つのアプローチとして、既に細菌由来の遺伝子であることが明らかになっているA. pisumの水平転移遺伝子について、これらの7種のゲノムDNA中に存在するかどうかを相同性検索によて調査した。A. pisumには、6種類12遺伝子が見つかっており、そのうち2つはブフネラ由来である。よって今回は、残りの4種類について、相同性検索に基づいた探索を行った。各遺伝子について7種のアブラムシのゲノムの内、AmiD, LcdA, bLys, RlpA、それぞれについて、4,5,7,6種から相同性を示すDNAの塩基配列が見つかった。A. pisumと同じ族である、DiurasphisとMyzusのゲノムからは、4遺伝子すべてが見つかった。別族だが同亜科のRhopalosiphum、Aphis, Schizaphisのゲノムでは、それぞれ3,4,2の遺伝子が見つかった。
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