研究課題/領域番号 |
17K07522
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50332482)
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研究分担者 |
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
山田 一孝 麻布大学, 獣医学部, 教授 (80292093)
近藤 大輔 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90708364)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | カンガルー / CT / 前肢 / 後肢 |
研究実績の概要 |
平成30年度では、前年度解析したアカカンガルーの遺体の追加入手ができなかったことから、本年度入手することができたオオカンガルー(Macropus giganteus)の遺体3個体を用いて非破壊的な解析をおこなった。検体にもちいたオオカンガルーは、解析まで-15度の条件下で冷凍保存し、使用時に解凍をおこなった。頭部では、下顎の開閉状況の解析を、前肢では肩関節での上腕骨の内転・外転および前後方向への可動状況、さらに前腕の回旋(回内・回外)運動などの解析をおこなった。後肢では膝関節や足根関節の屈曲伸展時の可動状況の解析をおこなった。非破壊的解析は、CTスキャナーを用いておこなった。CTスキャンによって得られた断層画像データを三次元立体構築し、3D画像からそれぞれの部位の可動状況を解析した。頭部では、下顎を最大限開閉させて開口させた状態でCT撮像をおこなった。前肢では、上腕骨を最大限内転および外転させた状態、上腕骨を最大限前後方向に移動させた状態、そして前腕を最大限回内および回外させた状態でCT撮像をおこなった。後肢では、大腿骨を固定して下腿を最大限前後方向に移動させた状態、下腿を固定して足骨格を最大限屈曲伸展させた状態でCT撮像をおこなった。下顎の開閉では、アカカンガルーと同様に長い顆傍突起が開口時の限定要因となっていた。肩甲骨を固定し上腕骨を前後に動かした場合には、肩関節は皮膜の存在のため前方への稼働が制限された。また橈骨と尺骨は癒合しておらず顕著な回内、回外運動が可能であった。大腿骨を固定して下腿を最大限前方向に移動させたとき、下腿の可動は制限され大腿骨とのなす角が180度にはならなかった。また、下腿を固定して足骨格を最大限屈曲させたとき、浅い角度まで屈曲させることができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度では、オオカンガルーの前肢および後肢の可動域に関するCT画像解析をおこなうことができた。しかし、オオカンガルーの前肢の肘関節や手根関節の屈曲伸展のCTを用いた非破壊的解析や複数個体のアカカンガルーのCT画像解析、そしてMRI画像解析をおこなうことができなかった。また、オオカンガルーとアカカンガルーにおける筋、腱、骨格に関する肉眼的解析も解析することができなかった。さらに、平成30年度では、定量的、統計的学的な解析をおこなうことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後、平成30年度におこなう予定であったオオカンガルーの前肢の肘関節や手根関節の屈曲伸展のCTを用いた非破壊的解析をおこなう予定でいる。さらに、前腕の回旋(回内・回外)運動を遠位端の断面像をもちいて、その回内および回外時の橈骨と尺骨間の移動角度を計測し、種間での違いを統計学的に解析する。また、CTやMRIといった非破壊的解析が終了した個体に関しては随時肉眼解剖をおこない、筋、腱、骨格の関係を解析していく。また、観察が終了した種から随時結果をまとめて、学会や論文発表をおこなう予定でいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成30年度におこなう予定であったCTやMRI画像解析を年度内に予定の検体数おこなうことができなかったことから、これらの検体の解析に使用する経費を次年度に使用することにしたため。さらに、学会や論文発表をおこなうことができなかったことから、次年度での使用を考慮したため。 (使用計画) 令和元年度は、CTやMRIといった画像解析を複数回おこなうことから、デジタルデータストックや画像解析関連の消耗品、またデータ解析ソフトの購入に研究費を使用する予定でいる。また、さらに、研究成果を論文や学会で報告することを考えており、学会への旅費や論文投稿の経費に使用予定でいる。
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