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2018 年度 実施状況報告書

日本産アザミ属植物の系統解析と分類学的再検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K07524
研究機関千葉大学

研究代表者

上原 浩一  千葉大学, 国際教養学部, 教授 (20221799)

研究分担者 伊藤 元己  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00193524)
渡辺 洋一  千葉大学, 大学院園芸学研究科, 助教 (30763651)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードアザミ属 / MIG-seq
研究実績の概要

30年度は、カガノアザミ亜節については山口県、島根県、広島県における調査・採集を行った。
また、近縁な別種と考えられているフジアザミおよびテマリフジアザミ、アズマヤマアザミおよびカズサヤマアザミの関係を明瞭にするためフジアザミ・テマリフジアザミは山梨県三ツ峠山、静岡県御殿場市の富士山麓、石川県白山、栃木県日光で調査、植物採集を行った。アズマヤマアザミおよびカズサヤマアザミは千葉県館山市、君津市、南房総市、鴨川市、成田市で調査、植物採集を行った。それに加えて国立科学博物館筑波研究施設、千葉県立中央博物館所蔵のさく葉標本についても調査した。その他の地域でも、秋田県、山形県、新潟県、福島県、長野県、群馬県、栃木県などでアザミ属植物の調査を行った。
フジアザミ・テマリフジアザミは葉緑体DNAのpsbA-trnH領域、5trnL-3trnL領域、3trnL-trnF領域、yc6F-psbMR領域についてハプロタイプ解析と、形態解析を行い、両者の違いを検証した。外部形態は頭花の長さ、総苞の大きさ等を各集団で計測、比較したところ4形質で集団間で有意差が見られたが、フジアザミとテマリフジアザミの間には有意差が見られなかった。また総苞片の長さなど記載の範囲に収まらない形質が多く存在した。葉緑体DNAハプロタイプ解析ではほとんど差異は見られなかった。
アズマヤマアザミとカズサヤマアザミについてもDNAハプロタイプ解析と、形態解析を行った。カズサヤマアザミの形態的特徴について、博物館所蔵のさく葉標本について観察したところ、カズサヤマアザミと同定された標本の多くが、カズサヤマアザミの記載的特徴と一致しないことがわかった。その形態的形質はアズマヤマアザミの形態と重なることから、両者に明瞭な違いは無く、分類について再検討すべきとの結論になった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

カガノアザミ亜節については29年度は分布の中心である北陸地方(石川県、富山県、福井県)について現地調査、植物採集をおこない、集団のサンプルを得た。30年度は中国地方、山口県、島根県、広島県における調査・採集を行った。得られたサンプルの外部形態形質の解析と、MIG-seqによる詳細な系統解析に向けたDNA抽出・調製をおこなうことが出来た。
また、近縁な別種と考えられているフジアザミおよびテマリフジアザミ、アズマヤマアザミおよびカズサヤマアザミに着目し、各自生地でで調査、植物採集を行った。 それに加えて国立科学博物館筑波研究施設、千葉県立中央博物館所蔵のさく葉標本についても調査した。その他の地域でも、秋田県、山形県、新潟県、福島県、長野県、群馬県、栃木県などでアザミ属植物の調査を行った。フジアザミおよびテマリフジアザミ、アズマヤマアザミおよびカズサヤマアザミともに、これまでの分類について再検討すべきとの結論を得た。

今後の研究の推進方策

カガノアザミ亜節2倍体種、フジアザミおよびテマリフジアザミ、アズマヤマアザミおよびカズサヤマアザミを用いたこれまでの結果から、種を記載する際に用いられた形質の変異の幅が十分に検討されておらず、連続した形態的変異のなかで特徴的な個体や集団を捉え、十分な検討をおこなわないまま多数の種を記載していた可能性があることがわかった。そこでカガノアザミ亜節の2倍体種、分布域全体の集団について種の記載に用いられた形態形質とMIG-seqを用いた分子系統解析を比較検討し、これまでに記載された種の再検討をおこなう。実際の遺伝的なまとまりと、形態形質の変異の幅を比較検討し、これまでに記載された多くの種の記載は正しいのか否か、実際の形態的なまとまり、遺伝的なまとまりと、記載された種の特徴が一致しない場合、分類の再検討をおこなう。30年度に調査したカズサヤマアザミとアズマヤマアザミは異なる亜節に含まれる、予備調査で形態的特徴からフジアザミ節となっているフジアザミが系統解析ではナンブアザミ節に含まれるなど、節、亜節レベルの再検討も必要である。この問題についてもカガノアザミ亜節の調査対象種をカガノアザミ亜節以外にも拡大し検討したい。

次年度使用額が生じた理由

物品費として使用予定であったが年度末に389050円の残額が生じた。本年度は調査旅費の割合が予定より多かったため、次年度は物品費および旅費に算入し使用予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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