キセルガイ科は日本産陸産貝類で最も種多様性が多い分類群であり、狭い地域の固有種が多いため絶滅危惧種が多く含まれる。本研究では、分子系統解析をおこなうことにより、日本産キセルガイ科の種多様性を再検討した。特に、広域分布種を中心に地理的変異と隠蔽種の有無について検討した。その結果、ナミギセル、コンボウギセルのような広域分布種では、複数の隠蔽種が発見された一方で、形態学的に別種とされていた分類群が種内変異として扱うべき例も多く発見された。日本産キセルガイ科では種レベルの分類体系および保全対象の選定を変更すべきと考えられる。
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