研究課題/領域番号 |
17K07526
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
邑田 仁 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (90134452)
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研究分担者 |
東馬 哲雄 (大井哲雄) 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10376527)
内貴 章世 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (30393200)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シマザクラ属 / アカネ科 / 系統分類 |
研究実績の概要 |
アカネ科シマザクラ属Leptopetalumにおける(1)分布拡大に伴う海洋島における木本化、(2)草本種の分類学的再検討について、昨年度に引き続き、国内外での野外調査、形態観察、核DNA ITS領域と葉緑体DNAによる系統解析を実施することで、以下の点が明らかになった。(1)太平洋諸島広域分布の木本種L. foetidumについては、昨年は分布域西側・マリアナ諸島に分布するHedyotis marianensis あるいはH. foetida var. marianensisとされてきたものを解析していたが、分布域東側・トンガ(タイプ産地)産試料の解析により、L. foetidumは単系統群で、東西での遺伝的分化が見られた。(2)アジア~太平洋諸島の海岸に広域分布する草本種L. strigulosumには2系統あり、東アジア産を別分類群にすることは昨年までに示唆されていたが、韓国、台湾およびパラオ産の試料を新たに解析したことで、L. strigulosumは太平洋諸島(マリアナ諸島~パラオ~ソロモン)に限られ、東アジア産は、L. coreana (ソナレムグラ)とL. taiwanensis(タイワンソナレムグラ)と認識すべきであることが明らかになり、現在、学名変更の準備を進めている。(3)多系統群であることが明らかになったアジア~太平洋諸島の内陸・海岸に広域分布する草本種L. biflorumについては、引き続き、試料追加と解析を進めているが、少なくとも系統的には大きく2つに区別され、それぞれの系統内に形態的分化が見られることが分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Leptopetalum biflorumを除く各分類群のタイプ産地での調査・試料入手ができたことで、系統だけではなく、分類学的再検討についても具体的に進めることができる目処が立ってきた。
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今後の研究の推進方策 |
草本種Leptopetalum strigulosum の分類学的再検討に関する学術論文を準備する。また、L. biflorumについては、形態的比較およびタイプ標本の検討を進めることで分類学的再検討を行う予定である。さらに、シマザクラ属に含めるべきか属の所属が不明であるミャンマー産Thecagonum parishiiは、連携研究者の協力のもと、再度探索を実施する予定である。
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