本研究では、褐藻ホンダワラ属藻類を対象として、地域集団間及び集団内の遺伝的多様性の違いをもとに分散能力の違いを明らかにした。 日本各地においてホンダワラ属藻類を採集し、ミトコンドリアゲノムの塩基配列(約2.5kb)を決定した。日本沿岸で同じような分布域を示すヒジキとタマハハキモクを比較したところ、顕著な地理的遺伝構造の違いが見られた。また、西日本沿岸で同じような分布域を示すキレバモク/タマキレバモクとヒイラギモクを比較したところ、遺伝的多様性や地理的遺伝構造に大きな違いは見られなかった。ヒジキとタマハハキモクの間の地理的遺伝構造の違いは、これら2種の間の分散能力の違いに起因すると推測された。
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