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2019 年度 実施状況報告書

ザトウムシ類における地理的核型分化・環状重複的種分化と分類学的改訂

研究課題

研究課題/領域番号 17K07534
研究機関鳥取大学

研究代表者

鶴崎 展巨  鳥取大学, 農学部, 教授 (00183872)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード染色体 / 交雑帯 / 種分化 / 地理的変異 / ザトウムシ / 形質弛緩 / 繁殖干渉
研究実績の概要

アカサビザトウムシGagrellula ferruginea種群について色斑および染色体数の地理的分化の調査が不十分であった北関東・福島付近で調査をおこなった。東北型は関東型と中間型を介して相互移行することがわかった。染色体数はこの地域で2n=10から14まで変異していた。栃木県東部から福島県南部にかけての地域はいずれも2n=12であった。栃木県西側には2n=14の集団が多いが,今回調べた古峰神社や高平山は2n=12/13/14の集団内多型を示し,東側の2n=12との交雑帯となっていることが示唆された。東北型は2地点(福島県糸沢とナラ入沢)では2n=10だが,県民の森キャンプ場の集団では北関東型と同じ2n=12だった。この地域では斑紋の変異と染色体数の変異は連動していないようである。
また,中国地方では近畿型と大山型の間にどちらとも異なる岡山型(仮称)と認識できる集団があることがわかった。近畿型の西限は吉井川で,それ以西では歩脚基部の黒化は急激に消失していた。染色体数は吉井川と旭川ではさまれた地域では2n=12/13/14の多型をしめした。
ナミザトウムシ種群に関しては,栃木・福島にこれまで認識できていなかった系統がオオナミザトウムシNelima genufuscaと同所的に現れることを確認した。また兵庫県北部でオオナミザトウムシとヒコナミザトウムシN. nigricoxaの繁殖干渉の状況を確認した。この2種間には種間交尾が体サイズに近いオオナミ♀とヒコナミ♂の間に限って野外および室内実験で確認できた。しかし,予想していた形質置換はおきていないようであった。
産雌単為生殖種のヒラスベザトウムシLeiobunum manubriatumの2倍体集団での遺伝的変異を調べるため岐阜県と富山県の2倍体集団でDNA抽出用のサンプル採集をおこなった。これについては現在,米国の共同研究者が解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度に予定していた調査はほぼ予定通り進めることができた。

今後の研究の推進方策

北関東のアカサビザトウムシおよびナミザトウムシ種群についてはもう少し交雑帯の確認などつめておきたい部分が残っている,本年の夏の調査でそれをカバーしたいと考えているがコロナ問題の影響で野外調査がどこまで予定どおり推進できるかが不透明な点が気がかりである。また,遅れている分子系統解析を進め,最終的な分類のまとめに進みたいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

消耗品の購入において一部他経費でカバーできるものがあり,そちらで支払いをしたためです。
2020年度の調査で使用予定です。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)

  • [国際共同研究] University of Maryland, Baltimore County(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Maryland, Baltimore County
  • [雑誌論文] エリザハンミョウ鳥取砂丘集団の個体数の危機的な減少. 2018年の標識再捕調査結果2020

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨
    • 雑誌名

      山陰自然史研究

      巻: 16 ページ: 1-7.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 鳥取砂丘の希少ハチ類数種の記録とニッポンハナダカバチの営巣地2020

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨・唐沢重考・石川智也・猪野真也・岸田由幹・白岩颯一郎・千葉悠輔・服部理貴・福井二葉・武藤 諒
    • 雑誌名

      山陰自然史研究

      巻: 16 ページ: 9-22.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Upgrading of Three Subspecies of Eudigraphis takakuwai tothe Species Rank (Diplopoda: Penicillata: Polyxenida: Polyxenidae)2020

    • 著者名/発表者名
      Karasawa, S., Kawano, K., Fukaya, S. and Tsurusaki, N.
    • 雑誌名

      Species Diverity

      巻: 25 ページ: 1-14.

    • DOI

      10.12782/specdiv.25.89

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 立ち入り規制のはじまった鳥取砂丘オアシス周辺のエリザハンミョウ個体群のさらなる危機的縮小2019

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨
    • 学会等名
      生物系三学会中国四国支部大会広島大会(日本生態学会)
  • [学会発表] 広島県西部におけるコゲチャザトウムシと“アカサビザトウムシ”クロオビ型の分布域の交替と色斑・核型の地理的分化2019

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨・三島香澄
    • 学会等名
      生物系三学会中国四国支部大会広島大会(日本動物学会)
  • [学会発表] コゲチャザトウムシとアカサビザトウムシの広島県西部における分布・核型分化と体サイズの形質置換2019

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨・三島香澄
    • 学会等名
      日本動物分類学会第55回大会
  • [学会発表] 静岡県と箱根地域におけるアカサビザトウムシの核型と斑紋の地理的分化2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川和樹・岡村和紀・鶴崎展巨
    • 学会等名
      日本動物分類学会第55回大会
  • [学会発表] 静岡県とその周辺におけるアカサビザトウムシの染色体数の地理的分化2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川和樹・岡村和紀・鶴崎展巨
    • 学会等名
      日本蜘蛛学会第51回大会 慶應義塾大学先端生命化学研究所(鶴岡市)
  • [学会発表] アカサビザトウムシにおけるヘテロ接合核型優位の染色体交雑帯2019

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨・井上健人・松本文哉
    • 学会等名
      日本蜘蛛学会第51回大会 慶應義塾大学先端生命化学研究所(鶴岡市)
  • [学会発表] コゲチャザトウムシとアカサビザトウムシクロオビ型の地理的核型分化と体サイズの形質置換2019

    • 著者名/発表者名
      鶴崎展巨・三島香澄
    • 学会等名
      日本動物学会 第90回大阪大会
  • [学会発表] 静岡県とその周辺におけるアカサビザトウムシの染色体数の地理的分化2019

    • 著者名/発表者名
      長谷川和樹・岡村和紀・鶴崎展巨
    • 学会等名
      第70回染色体学会年会

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公開日: 2021-01-27  

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