Perinereis nuntia同胞種群について、南九州から南西諸島各地、および台湾中央研究院との共同研究で台湾で標本収集を行った。得られた標本から高純度のDNAを抽出することができ、ミトコンドリアCOI、16Sリボソーム、核ITS領域などの塩基配列を決定できた。その結果、1種の未記載種に加えて2種の日本新記録種を発見、さらにDNAを用いたこれらの簡便な同定法を開発した。この成果は国際誌と国際学会で発表した。 Neanthes glandicincta同胞種群に関しては、南九州から南西諸島各地およびシンガポール(シンガポール国立大学との共同調査)、マレーシア(マレーシアトレンガヌ大学との共同調査)で標本収集を行った。これらについても得られた標本から高純度のDNAを抽出することができ、ミトコンドリアCOI、16Sリボソームなどの塩基配列を決定できた。その結果、5隠蔽種の存在を明らかにした。シンガポール国立大学との協力により、その中の1種は近年新種記載されたNeanthes wilsonchaniであることが判った。 Namalycastis hawaiiensis同胞種群は奄美大島以南の南西諸島各地およびマレーシアトレンガヌ大学との共同調査でマレーシアで標本収集を行った。これらについても得られた標本から高純度のDNAを抽出することができ、ミトコンドリアCOI、16Sリボソームなどの塩基配列を決定できた。その結果、南西諸島にはNamalycastis hawaiiensisが生息していること、マレーシアには3隠蔽種が生息していることが判明、マレーシアトレンガヌ大学との協力で、そのうちの1種はNamalycastis multisetaであることが判った。
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