研究課題/領域番号 |
17K07547
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研究機関 | 千葉県立中央博物館 |
研究代表者 |
柳 研介 千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員(移行) (00321852)
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研究分担者 |
Reimer J・D 琉球大学, 理学部, 准教授 (20452956)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | イソギンチャク / クマノミ |
研究実績の概要 |
本年度の研究実施計画においては,研究の具体的進行手段について検討し,それらに基づいた試料収集,DNA解析を実施することを計画した.本年度,5月に沖縄において研究分担者,研究協力者が一同に介して検討を行い,研究遂行の具体的な手順,試料収集プロトコルの作成等を行った.同時に立案した試料収集プロコトルに基づいた試験的な採集を実施し,その実効性を確認した. 試料収集については,上記プロトコルに則って奄美大島,鹿児島湾,トカラ列島,沼津,三浦半島の各地において実施した.収集した試料には個別の通し番号を与え,各種情報(産地,水深,共生生物等)を加えたリストを作成するとともに,採集時に撮影した当該個体の水中写真とともに,参画者が全員アクセスできる簡易データベースを作成し,試料管理・進行管理ができる体制を構築した.同様に準備期間中に採集していた個体についてもデータベースを作成した.以上により,本年度は,12形体型の計100試料(新規76試料および準備期間中の24試料)を収集し,これらの情報を整理した. 得られた試料については,全て粗DNAの抽出を行うとともに,試験的にミトコンドリアDNAの3領域(12S,16S rDNA, COXIII)においてPCRによる増幅試験を実施した.各プライマーは花虫類用に設計されたものを使用し,一部個体のCOX IIIを除き,全てにおいて良好な増幅が確認された.これらの結果は,上記データベース上において進行管理できるような体制とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は詳細な研究計画の立案とその実効性の確認が最大の課題であった.特に生体からの非侵襲的な試料収集(触手数本の採集)について,作成したプロトコルにより、コンタミの防止・触手からのDNA抽出・PCRによる目的配列の増幅試験等が概ね良好に行えることが確かめることができた.また,水中観察による形体型の識別について,プロトコルによって撮影した写真データをもとに検討することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題においては,試料数の多寡が研究成果を左右すると考えられるので,引き続き精力的・網羅的に試料収集を行い,1形体型につき最低3ヶ所,10試料以上を解析対象に含められるようにする.また,増幅が確認された目的配列について,その有用性を検証するとともに,新たに導入するサーマルサイクラーを用いて,順次全ての試料について解析を進める.以上から得られたデータを検証するとともに,新規の配列あるいは解析手段についての必要性について検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
増幅した目的PCR配列のシーケンスの外部委託を一部行わなかったこと及び現有プライマーを使用したことによってプライマー合成にかかる費用が生じなかったことにより次年度使用額が発生した.当該金額は本年度行わかなったシーケンスの外部委託およびプライマー合成に係る費用に充当する.
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