研究課題/領域番号 |
17K07560
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
中森 泰三 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50443081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | きのこ / 殺虫力 / 菌食動物 / 地理分布 / 適応進化 |
研究実績の概要 |
殺虫作用をもつ菌類スギエダタケの菌食者(トビムシ類)に対する適応進化の可能性を探るために、野外調査および標本採集を行なった。子実体食トビムシ類の地理分布の解明のために、今年度は宮城県、新潟県(佐渡島)、富山県、京都府、和歌山県、島根県(本土および隠岐島)の7地点で野外調査を実施した。宮城県、新潟県(佐渡島)、和歌山県、島根県(本土および隠岐島)の調査では、スギエダタケを摂食するトビムシ相および子実体を摂食するトビムシ相の調査ができ、宮城県と新潟県(佐渡島)の調査地では子実体食性のトビムシが存在するもののスギエダタケを摂食する種がいないこと、和歌山県、島根県(本土および隠岐島)の調査地ではスギエダタケを摂食する種がいることがわかった。京都府ではスギエダタケを摂食するトビムシ種の存在は確認されたものの、天候に恵まれず、子実体を節食するトビムシ相の調査はできなかった。富山では2回調査を試みたが、トビムシが十分に得られなかった。 トビムシ類がスギエダタケの胞子散布に与える影響の評価のために、子実体から得られたトビムシ類の体表に胞子が付着しているかを調べるための方法を検討した。また、スギエダタケを摂食するトビムシが見つかった和歌山県、島根県(本土および隠岐島)のうち、島根県(隠岐島)で十分な数の標本を得た。 スギエダタケ子実体形質の地理的変異の解明に向けて、上述の7地点でスギエダタケの子実体を採集し、エタノールの固定して標本とした。また、室内培養(基質培養法)により各産地のスギエダタケの子実体サンプルをいくつか得た。一部の産地のものについては殺虫力を評価するための試験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査地点を増やすために野外調査に力を注いだ分、室内での実験観察がやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き野外調査を継続し、調査地点数を増やし、基盤データを固める。 未記載のトビムシ種が多数得られたので、それらの種を記載する。 重点的に実験観察を行う地点を絞り込む。
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