研究課題
本研究では、諫早湾干拓や韓国セマングム干拓などにおける採泥調査や、松島湾や浜名湖での干潟生物調査を長期間にわたり継続させることで、大規模干拓や外来種侵入などによる人為的撹乱や、地震や津波などの自然災害に伴う環境と生物の変化過程をとらえ、急激な環境変動に対する生物の応答の普遍性を明らかにする。さらに、今後生じるであろう様々な環境変化に備えて、静岡県周辺の干潟・浅海域において現時点でのイベント前の通常状態における環境・生物の定点観測を行い、将来の環境問題(外来種や沿岸開発、南海トラフ地震後の復旧計画など)に対して同一の精度でイベント前後の変化を比較できる定量的データを提供することを目的としている。2022年6月に、諫早湾潮止め後25年目の有明海奥部50定点および干拓調整池内16定点の採泥調査を継続的に実施した。また、同年7月には東日本大震災から12年目の宮城県東名海岸における底生動物の定量調査を実施し、同一地点・同一方法による震災前10年間と震災後12年間のデータと比較することで、底生動物群集の回復傾向を明らかにした。この他、2022年4月から2023年3月まで毎月1回、静岡県西部の浜名湖奥部6地点において潮下帯での環境・生物の定点観測を行い、アサリ稚貝の季節的な発生調査と採泥試料中の底生動物の種構成の季節変化を明らかにすることで、浜名湖におけるイベント前の通常状態における環境・生物の定量的データを収集した。松島湾と諫早湾で採集した貝類・貝形虫類のデータを基に、日本ベントス学会主催の公開シンポジウムと合同大会において研究発表をした。また、これまでの韓国調査の成果をもとに和文誌に論文を公開した。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
科学
巻: 92 ページ: 297-299
Molecular Phylogenetics and Evolution
巻: 175 ページ: 107460~107460
10.1016/j.ympev.2022.107460