研究課題/領域番号 |
17K07571
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
三村 真紀子 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60451689)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ゲノム系統解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的である多様に分化したバラ科キイチゴ属の種分化と気候適応に関する収斂進化に関するメカニズムを明らかにするために、試料株の採集、系統関係の検証、ゲノム系統解析を行った。国内に自生するキイチコゴ属Idaeobatus亜属に属する22種(全て2倍体)を収集し、他の亜属を含む系統樹を作成したところ、Idaeobatus亜属は多系統であり、うち1つの系統グループはバライチゴやモミジイチゴなど国内種15種を含む最大のグループであることがわかった。また、Idaeobatus亜属は主に冷温帯に分布するが、国内のIdaeobatus亜属には、温暖な気候に分布する種も多く、亜熱帯気候への進出を遂げたオオバライチゴとリュウキュウイチゴは、それぞれ異なる温帯性のサブクレードから派生したことがわかった。この結果をもとに、異なる気候に分布する近縁な計8種14系統を選定し、ゲノムシーケンスを行った。外群として、系統グループの異なるナワシロイチゴの北海道系統および沖縄系統の計2系統を用いた。計885M readsを取得し、クオリティコントロールを行った。現在、リファレンスとして、モミジイチゴおよびヨーロッパキイチゴのゲノム情報を利用し、ゲノム系統解析から過去の種間交雑の影響を踏まえた種分化プロセスを検証している。また、交配実験による種間交配親和性の検証では、異なる系統グループに属する種間であってもある程度結実することがわかった。しかし、亜熱帯性キイチゴを含む国内キイチゴ属を対象にした交配実験では、同じサブクレードに属する種間では容易に交配するが、異なるサブクレード間では、交配親和性が著しく低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りにデータを収集できており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、系統解析を進め、成果を学会および雑誌などで発表する
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年4月に所属機関を移動し、その準備と引き継ぎ業務のエフォートが増加した2019年度末は、研究を進めることができなかった上、新型コロナ感染拡大抑制のために年度末に予定していた研究打ち合わせや学会発表現地参加は全て中止となったため余剰金が生じた。これらの余剰金は、次年度に研究打ち合わせおよび解析システム改良等のため使用する。
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