研究課題/領域番号 |
17K07592
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高須 奈々 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (30467394)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サーカディアンリズム / 生体リズム / 基礎体温 / 月経周期 / 睡眠習慣 |
研究実績の概要 |
近年、晩婚化に伴い、初産年齢も高齢化傾向にあるが、年齢の上昇に伴い受精卵の着床の低下や流産のリスクも高まるために不妊で悩む人も増加している。正常な性周期を発現させる上で体内時計中枢・視交叉上核からのタイミングシグナルは不可欠であるが、加齢、不規則な生活、昼夜差の乏しい光環境は視交叉上核の神経活動リズムを減弱させるためにタイミングシグナルがうまく伝わらず、不妊を招いている可能性がある。そこで本研究課題では、現代人の不規則な生活が女性の性周期不整を招いているのか、また睡眠習慣や光環境を改善し、体内時計と1日の環境光サイクルの調和を促すことで性周期不整が改善するかを検証する。まず、閉経前の20~49歳の健康な女性を対象に、普段の睡眠習慣、生活リズム、基礎体温リズム、月経周期、排卵のタイミング等を調査し、現代人の生活に定着した不規則な生活と女性の生殖機能の関係について調査する。続いて普段規則正しく就寝・起床する閉経前の健康な女性を対象に、週末に夜更かし・朝寝坊をさせ、生体リズムを内的脱同調させたときに、基礎体温リズム、月経周期、排卵等のタイミングも乱れるのか検証する。その際、性周期不整の原因因子も特定する。さらに普段、不規則に就寝・起床し、性周期不整も示す閉経前の女性が睡眠習慣や生活環境を改善することで生殖機能を改善させることが可能であるかも検証する。初年度である平成29年度は実施研究機関の異動に伴い、新規所属機関での研究室の立ち上げ・研究実施の準備に時間を要したが、今後の研究の効率化を図るうえでの測定法の改善を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施機関の移動に伴い、新規所属機関での研究室の立ち上げ・研究実施の準備に時間を要し、計画していた実施人数に足りなかった。平成29年度は、現代人の不規則な生活パターンがヒト女性の生殖機能に及ぼす影響について検証するため、以下の項目について、1年間を通してデータを取得し、解析可能である基礎データを得た。平成30年度は基盤となるデータを当初の計画数採取することを当面の目標とするとともに、更に就寝・起床時刻の記録法を従来の睡眠日誌による自己申告制からウエアラデバイスを用いて客観的かつ簡便・安価な方法を開発することでより円滑に研究を進める。
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今後の研究の推進方策 |
基礎体温: 毎日、起床直前の決まった時刻に寝床内おいて基礎体温計を舌下に挿入し、口を閉じて安静時体温を測定する。目覚まし時計が搭載されている基礎体温計(テルモ電子体温計WOMAN℃(ウーマンドシー))を使用することで定時に、測り忘れることなく、基礎体温を計測が可能である。正常な場合、基礎体温は排卵期をはさんで低温期と高温期が見られるが、排卵が見られない場合や子宮内膜症・黄体機能不全の疑いなど卵巣・子宮に隠れた疾患がある場合は基礎体温のパターンが変化することを確認している。現在、1年分のデータの周期性、規則性について解析を行っている。 月経周期: 記録用紙に月経が開始した日を記録し、月経周期(月経開始から次の月経開始前日までの日数)を計算した。データの周期性、規則性について解析中である。今年度は例数を増やす。 就寝・起床時刻: 従来、照度計付き腕時計型行動記録計(米国Mini Mitter社製;アクティウォッチ)を装着し、睡眠日誌のデータと合わせて就寝時刻と起床時刻を算出してきた。本研究では、それと並行して、安価なウエラブルデバイスによって得られたデータから就寝時刻と起床時刻の日々のばらつきを算出し、睡眠覚醒リズムの規則・不規則度を解析できるか否か検討する。 生活リズム: Social Rhythm Metric (SRM)日本語版にて、日々のイベントを始めた時刻(起床、他人との関わり、仕事・学校・家事・ボランティア、夕食、就寝)記録を採得する。生活リズムのばらつきを算出し、規則・不規則度を解析中であり、今年度は統計学的検討が可能なデータ数を取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は研究実施機関の異動もあり、人件費・謝金の支出がなかった。平成30年度に研究補助員のアルバイト謝金として使用する。
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