研究課題/領域番号 |
17K07594
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
竹内 弥彦 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (80609917)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢者 / 脊柱形態 / 頭部動揺 / 頭部の立ち直り角度 / 片脚立位 / ステッピング反応 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に計測が終了したデータ解析を進め、静止立位時から片脚立位時への動作時、片脚立位保持および側方へのステッピング動作時における脊柱形態と頭部や全身重心の制御能との関連性について解析し、関連学会にて公表した。 静止立位時から片脚立位への移行期に出現する足圧中心の逆応答距離は、若年群と比較し高齢群で有意に長くなることが示され、その逆応答距離は左右方向への全身重心動揺と関連性があることが明らかとなった。片脚立位保持時における身体体節別の重心動揺量では、頭部、胸郭部、骨盤部すべての体節において、高齢群では左右方向の動揺量が大きいことが明らかとなった。加えて、脊柱形態や骨盤傾斜角との関係性では胸椎後弯角と骨盤重心動揺量との間に有意な正の相関関係を認め、骨盤傾斜角と頭部重心動揺量との間に有意な負の相関関係を認めた。これらの結果から、力学的に不安定な条件下である片脚立位時には、胸椎後弯角の増大や骨盤傾斜角の低下(前傾角の減少)などの高齢者に多く見られる矢状面上のアライメント変化は、脊柱の上部に位置する頭部や脊柱の土台となる骨盤部の動揺増加と関連していることが考えられた。 外乱負荷時の側方へのステッピング動作時には、外乱負荷方向である左右方向の頭部動揺量が高齢群で大きくなることが示された。加えて、頭部や体幹部重心の立ち直り角度・角速度において、高齢者で小さくなることが確認された。左右方向への頭部動揺量が大きくなることや頭部を立ち直らせる能力が低下することにより、頭部に生じた加速度を前庭器官が感知し、体幹部や下肢の剛性を高めることによるステップ動作出現の遅延にもつながることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に納品された特注の外乱負荷装置と既存のモーションキャプチャシステムを用いて、ステッピング反応の計測が終了した。本年度は計測データの整理に時間を要したが、側方へのステッピング動作時の頭部制御能についての解析まで終了することができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に収集が完了したデータの解析を進める。外乱負荷装置を用いた側方へのステッピング動作における頭部の動揺量や立ち直り角度・角加速度の解析を前年度に進めたため、今後は側方へのステッピング動作における足圧中心を含めた解析を進めることに加えて、後方へのステッピング動作時の頭部制御能と脊柱形態との関連性についても解析し公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大の影響もあり、エントリーしていた海外発表を取りやめたため、旅費が大幅に削減された。来年度は研究成果の公表、とくに論文公開の費用として使用する計画である。
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