研究実績の概要 |
本研究の目的は、子どもの年齢変化に伴う睡眠調節の機能変化に対する要因としての睡眠恒常性機能諸側面(主観的眠気、脳波検査)と概日リズム機能諸側面(放熱反応、概日リズム位相後退、夜型化)の寄与の検証である。本年度は、児童のための新しい活動量計FS-760による睡眠覚醒判定アルゴリズムを作成した。 研究協力者は35名の男女児童である(平均年齢 10.8±2.7歳、範囲6~15歳、男女比57%:43%)。すべての児童本人及び保護者へ説明を行い書面による同意を得た。児童は実験施設で1夜の睡眠ポリグラフ(PSG)と活動量FS-760の同時測定を行った。児童をGroup A(N=18)とGroup B(N=17)に割り付けし、Group Aの活動量データから判別分析により5次元の線型判別関数を算出し、Group Bの活動量データにより精度を検証した。 判別関数の一致率は86.37±1.31%と一定の精度を示した。感度(睡眠の正解率)は88.08±1.54%、特異度(覚醒の正解率)は64.15±5.68%と成人の値(Nakazaki,2014)と同等であった。ステージごとの一致率ではS1でやや低い値がみられた(S1:63.51±5.53%)ものの、それ以外では82.72~97.63%と高い一致率がみられた。連続出現エポック数により入眠潜時および中途覚醒の最適化をt検定および級内相関係数ICCで検証した結果、入眠潜時では最適化不要であったが、中途覚醒では5エポック(20分)がPSGでの結果と最も高い整合性を示した。 本研究で作成したFS-760のための新しい児童用睡眠覚醒判定アルゴリズムは十分な精度を有することが示された。
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