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澱粉粒とは、澱粉が植物細胞内で形成する粒子である。胚乳における澱粉粒の形状は植物種によって多様であり、重要穀類であるイネとオオムギの間でもその形状は異なっている。イネ胚乳の澱粉粒は複数の澱粉粒子が集合して出来ており、これは複粒型と呼ばれている。一方、オオムキでは、1つ の澱粉粒子から構成される単粒型澱粉粒を発達させる。澱粉粒の形が決定される仕組みは現在まで分かっていない。本研究課題では、まず澱粉粒を合成するオルガネラであるアミロプラストの形に注目して、澱粉粒の形状多様性とアミロプラストの形に関係があるのかを検証した。昨年度までに、アミロプラストに効率的に移行するアミノ酸配列を同定し、蛍光タンパク質を用いて胚乳アミロプラストを可視化できる形質転換体をイネとオオムギで作出した。この形質転換体の登熟種子胚乳を観察することで、アミロプラストの形状について新知見を得ることができ、学術論文に発表した。本年度は、澱粉粒の形状決定の仕組みを分子レベルで解明するために、澱粉粒の形状に異常を示すオオムギ突然変異体の単離を行い、解析を進めている。本年度のスクリーングにより、本来単粒型澱粉粒を発達させるオオオムギで、複粒型を発達させる変異体、細長い単粒型澱粉粒を発達させる変異体、野生型よりも巨大な澱粉粒を発達させる変異体などを得ることに成功した。得られた変異体と上記のアミロプラストを可視化できる形質転換体と交配し、澱粉粒の形状異常とアミロプラスの形状に関係があるのかを検証している。また、アミロペクチンの鎖長分布解析や澱粉の消化性についても調査を行い、一部の変異体でこれらの澱粉物性が変化していることも見出した。今後、これらの検証と共にさらに新しい突然変異体の単離、得られた変異体同士の多重変異体の作成と解析、原因遺伝子の同定などを行う予定である。
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