研究課題/領域番号 |
17K07609
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
田岡 健一郎 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (00467698)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | フロリゲン / ジャガイモ / 塊茎形成 / FT |
研究実績の概要 |
ジャガイモにおいて、フロリゲン様タンパク質SP6Aが転写因子FDL1とフロリゲン複合体FACを形成して塊茎(イモ)形成を促進し、アンチフロリゲン様因子SPが抑制することを明らかにしている。本研究では、塊茎分化進行過程でのSP6AやSP、FDL1の局在変化やそれらの相互作用変化を明らかにし、塊茎分化初期マーカー遺伝子の発現変化と合わせて、フロリゲン複合体が誘導する塊茎分化の初期過程を細胞増殖・分化の観点から理解することを目的とした。これまで形質転換体の作成に用いてきたジャガイモ栽培品種「さやか」は、塊茎誘導の光周性依存性が強くないため、詳細な表現型解析が困難であった。そこで、光周性依存性が強いと予想される、原種に近い品種であるandigena W553-4の利用を検討することにした。塊茎誘導の光周性依存性を調べたところ、厳密な日長応答性を維持していることが示唆された。「計画1. ジャガイモの塊茎制御に関わるフロリゲン複合体の構成要素の地下茎先端での局在解析」に必要なキメラ遺伝子を作成した。プロモーター領域、コード領域を含むゲノム断片をクローニングし、GUS、GFP、RFP遺伝子と融合させたキメラ遺伝子を作製した。「計画2. フロリゲン複合体の多機能性を担う転写因子の生化学的解析」については、チューベリゲン複合体の核となる転写因子StFDL1の組み換えタンパク発現形を確立させた。「計画3. アンチフロリゲンによるジャガイモの塊茎抑制」については、ジャガイモTFL1過剰発現体と野生型植物の接木条件の最適化を検討した。今後は、作製したキメラ遺伝子をandigena W553-4に形質転換し、形質転換体の観察を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで形質転換体の作成に用いてきたジャガイモ栽培品種「さやか」は、塊茎誘導の光周性依存性が強くないため、詳細な表現型解析が困難であった。そこで、光周性依存性が強いと予想される、原種に近い品種であるandigena W553-4の利用を検討することにした。塊茎誘導の光周性依存性を調べたところ、誘導条件である短日条件では土移植後3週間で塊茎が観察されたのに対して、非誘導条件である長日条件では10週間たっても塊茎が形成されず、厳密な日長応答性を維持していることが示唆された。「計画1. ジャガイモの塊茎制御に関わるフロリゲン複合体の構成要素の地下茎先端での局在解析」に必要なキメラ遺伝子を作成した。プロモーター領域、コード領域を含むゲノム断片をクローニングし、GUS、GFP、RFP遺伝子と融合させたキメラ遺伝子を作製した。作製したキメラ遺伝子のandigena W553-4への形質転換を試みたが、これまで申請者らが用いてきた方法では形質転換体が得られなかったので、培地条件などの検討を行っている。「計画2. フロリゲン複合体の多機能性を担う転写因子の生化学的解析」については、チューベリゲン複合体の核となる転写因子StFDL1の組み換えタンパク発現形を確立させた。「計画3. アンチフロリゲンによるジャガイモの塊茎抑制」については、ジャガイモTFL1過剰発現体と野生型植物の接木条件の最適化を検討した。
|
今後の研究の推進方策 |
作製したキメラ遺伝子をandigena W553-4に形質転換し、形質転換体の観察を行う。これまで申請者らが用いてきた方法では形質転換体が得られなかったので、他の文献を参考にし、国内のジャガイモ研究者と相談しながら、形質転換法の最適化を行う。接木実験については、コントロールと比較しながら、さらに実験条件の最適化をおこなう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度に予定していた実験に予想外の遅れが生じたため、その分の使用予定額が少し残った。今年度の実験に繰り越し利用する予定である。
|