開花抑制:抽苔耐性と春化処理期間中の遺伝子発現量の関係を明らかにするために、先ず、抽苔耐性の異なる苗に対して50日、100日および200日の春化(5℃)期間を与えた後に、夜間補光を加えた温室条件で栽培した。抽苔が誘導された割合(抽苔率)から推定された大凡の春化要求量は、抽苔耐性“中”が50日以内、同“やや強”が50日から100日程度、同“強”が100日から200日程度となった。次に、4種類の開花関連遺伝子(BvBTC1、BvFT1、BvFT2およびBvFL1)に着目し、50日、100日および200日の春化処理期間における遺伝子発現量を解析した。その結果、2種類の遺伝子(BvFT1と BvFT2)には開花促進の発現パターンが確認されたものの、4種類の開花関連遺伝子からは春化要求量を特徴付けるような発現パターンは認められなかった。
開花促進:昨年までに得た関与ゲノム領域の絞り込みを進めた。先ず、①QTL-seq解析に用いた両親系統、F1、BLONDバルク、非BLONDバルクの全ゲノム情報に対して予測ツールを用い、遺伝子やアミノ酸の変化のあるゲノムの変異を解析した。次いで、②全ゲノム配列情報を用い、マッピング 、バリアントコールを経て得た両親とは別種類のBLOND系統と非BLOND系統のゲノムの変異情報を得た。そして、①の変異情報のうち、②の変異情報でもBLOND系統と非BLOND系統の関連が認められる変異に着目して、ゲノム領域を絞り込んだところ、開花に関連性のある数種類候補遺伝子が見出された。
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