研究課題/領域番号 |
17K07623
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
西原 英治 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40452544)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 炭化物特性 / 活性炭 / 連作障害回避 / 根粒菌 / 硝化菌 |
研究実績の概要 |
今年度は,昨年作成した活性炭の処理区をそのまま連作し,Microcosm 試験における炭化物種と根粒菌および硝化菌の動態変化について,活性炭の吸着能力と根粒菌の着生の関係および各系統のダイズ(3系統)の生育の関係を調査した。さらに,Microcosm 試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響についても確認を行った。 この結果,昨年から混和している活性炭の吸着能力は低下しておらず,昨年と傾向が違うのは,TnVRSN4(超根粒)を含むすべての3系統の根粒菌着生数は,対照区に比べて有意に低下していた。一方,根粒菌の着生数が低下したにもかかわらず,各区にダイズの基準施肥量を施肥したことから,収量は維持されていた。根粒菌の誘導物質と報告されているDaidzeinおよびGenistein量は,活性炭施用量が多くなるにつれて減少していた。3系統における土壌中に放出されたN2Oは,活性炭の施用量が多くなるとN2O放出量が減少する傾向を示した。このように,ダイズの連作における活性炭の連用効果の現象は,昨年と若干異なる傾向を示した。今後は、活性炭施用量,収量を含むダイズ系統差,根粒菌着生,根粒菌の誘導物質およびN2O放出量の関係を統計解析にて解明していく予定である。 異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響についても確認できた。つまり,炭化物施用によって,土壌中に施用した尿素はアンモニアには変化しているものの,そのまま炭化物に吸着し,明らかに硝化菌によって速やかに硝化されていないことが好アンモニア窒素および好硝酸態窒素植物を栽培することによって証明された。好硝酸態窒素植物は結局,炭化物施用量が増えればアンモニア態窒素の炭化物への吸着が多く,尿素から硝酸態窒素への移行が困難になり枯死するような処理区も認められた。 今年度も引き継き調査をする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各試験は終了しているが,土壌微生物群の追跡調査がすべて完了しておらず,冷凍保存している状態である。この分析を継続しながら,次年度の計画を遂行していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
31年度は,応募時の計画通り下記の継続および新規実験3つを行う。 1.ダイズの連用をもう1年行う。 2.Microcosm試験による異なる窒素吸収植物種を用いた炭化物種と硝化作用に及ぼす影響を短期的(1作)かつ長期的(連作)に栽培することによって調査する。
最終年度は,炭化物種の物理的および化学的吸着における破過点の推定年数を推定し,異なる炭化物種および施用量が植物の成育と土壌微生物の動態に与える影響調査する。同時に,炭化物種の吸着メカニズムと関連付けて短期および長期的に調査した結果をまとめ,総合的に農業分野で利用できる炭化種の土壌中の挙動を把握する。
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次年度使用額が生じた理由 |
炭化物施用有り無し土壌からの微生物群の調査が終了しておらず,それに使用する予算が余ったためである。31年度にこの予算を用いて引き続き分析を行う予定にしている。
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